何度でも恋は散る3

 何故今、今度こそと言ったのかはわからなかった。

 

 でも今はそんなのはちっぽけな事で今大事なのは俺か振られたという事。

 そして何故佐藤はその事に気づいたのかという事。

 

 だってその事は、その気持ちは俺が必死に自分に嘘をついて知ろうともしなかった自分の本当の気持ち。

 なのに!


「だから別れよう?」

「本当に、言って、い、いるのか?」

「うん」


 こいつがこんなに真面目な顔をするなんて本当なんだな・・・。


「わ、分かった別れよう」


 これでいいんだよな?

 でも俺が佐藤と別れたところで加藤さんは沓沢と・・・なんて考えてたらダメだよな。


「よーし蓮と別れたぞー!」


 え?そんなに大っきい声で言わなくても、まだ付き合ってるのもほとんどの人が知らないのに。


『コン、コン、コン』


 なんだっこの足音?

 気になって後ろを振り向いた、その瞬間顔から十センチ程度の距離に誰かの顔があった。


「こんにちは蓮くん、そしてお久しぶり」

「・・・え?」


 どういう訳かそこには加藤さんがいた。

 そして今言った言葉を俺は見逃さなかった。


 おいちょっと待て今お久しぶりって言わなかったか?どういう事だ?

 あの会話からってことかな?

 きっとそうだよな。


 そう思いはしたもののやっぱり疑問は残り、モヤモヤしていると・・・、


「どう言う意味?って顔してるね?」

「は、はい」


 やっぱり俺って感情が顔に出やすいのかな?

 そんな事を考えていると驚きの質問が告げられた。


「じゃあ質問、なんで『お久しぶり』なんて言ったでしょう?」

「この前、転校してきてすぐに話しかけて来たきり話して無かったから」


 これじゃ無いなら俺には心当たりがないんだけど。


「ブッブー。違うよー。やっぱり覚えてないんだね」


 どう言う事だ?覚えてないって言ったよな、ちょっと意味がわからないんだが・・・。

 俺は必死に考えて思い出そうとしたが、結局思い出せず「はい」と答えた。


「ふーんやっぱりか。じゃあ教えてあげるね」

「うん」


 どう言う答えが返ってくるのだろうかと考えていると彼女はその答えを答えてくえた。


「君と私はもうすでに十一年前にあっているんだよ」


 そう伝えられた時その言葉の意味を理解できなかった。

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