想定外が多すぎだよ2

 そしてその後俺はいつも通り別に佐藤と一緒に帰ったり、友達と喫茶店に行ったりする訳でもなく一人で家に帰っていた。


 その瞬間焦げ臭い匂いが家に充満していることに気づいた。

 俺はすぐに靴を脱ぎ鞄を玄関の隅に投げ捨てキッチンのある方へと走って向かった。


「あ、お兄ちゃんおかえり」


 俺はその光景を見て唖然とした。

 何故ならそこには、真っ黒な何かと隣にはシチューかと思われるドロドロで腐敗臭を放っている。


「どう言う事だこれは?」

「えっと、料理の練習してたら失敗しちゃった的な・・・」


 いや感心したぞ、料理の練習してたなんてお兄ちゃん感激!だけど、


「的なじゃないだろ!失敗ってレベルじゃないだろこれ」


 いや本当にどんな料理をしたらこうなるんだ。


 妹はもじもじしながら目を逸らして、

「いやさ〜本当に練習してたらこうなったんだってば信じて〜〜」

「いや信じるけどさ」


 本当はあまり信じてないと言う事を悟られないように答えた・・・はずなのに、

「信じてないってわかるんだからね〜〜」

 

 な、何故バレた?俺の名演技が見破られた?そんな事があるわけが・・・、

「なんでわかったんだ?」

「いやバレバレでしょ。逆にバレてないと思った?」


 え?まじで?てかこの展開前にもあったような・・・。

 まあそんな事があるわけないよな・・・うん、多分、きっと・・・大丈夫なはずだよな?


「あ、そうですか、すいません」

「なんで謝るのさ」


 少し苦笑しながら妹は俺の方を向いてそう呟いた。


「ところで今暇か?」


 そう言った瞬間にこちらに近づいてきて顔を近づけてきた。


「暇暇!超暇〜、で何?またなんかあったの?加藤さん?佐藤さん?」

「わかった、わかったから落ち着いてくれ頼むから」


 こいつこんなにグイグイくるやつだったかな?もうチョイ大人しかった気がするんだけど、と言うかめんどくさそうに聞いてた気がするんだが。

 本当にこいつはよくわからないやつだな〜、なんて言ったらいいんだろうか天真爛漫?は違うな、まあ俺の頭で考えても出てくるわけないか。


 咳払いをしてから会話を本題に移していく。


「えっとなまあ佐藤のことなんだけど」

「まあだよね、付き合ってるんだし」

「そうそうつきあってて、ん?」


 待て待て俺誰にも言ってないよな?なんでバレたんだ?


「なんでお前がそれを知ってるんだ?」


 答えによってはそいつをこの世から消さなければ・・・と言いつつ大体はわかってるんだけど。


「え〜とね佐藤さんだよ」


 やっぱりかまああいつしかいないよな。

 付き合ってること誰にも言ってないんだし。


「まあさとりあえずそれは置いといて、今回はな明日デートする事になったんだけど・・・」


 数分後


「なるほどね〜。てかさこの展開なんか多くない?」

「そう言うことは言っちゃダメです」

「は〜い」


 こいつ本当にわかっているのか?

 そんな事を考えてしまうほどにこいつへの信用はもうなくなっていた。


「まあとりあえず当たって砕けろ戦法で行けばいいんじゃない?」

「それお前に頼る意味がなくなってるじゃん」


 こいつ本当にどこか抜けてるよな。俺もだけど・・・。


「わかったじゃあ目標を作ってみようよ」

「な、なるほど」


 確かにそれはいい案かもしれない。 

 目標があった方が頑張れる気がする・・・ような気がしなくもない。


「とりあえず決めようか」

「おう!」


 そしてまた数分後


「じゃあキスをするって事で」

「いやちょっと待て勝手に決めるな」


 待て待てまだ十分ぐらいしか経ってないし何しろ俺の案を一つも聞いてくれてないんだけど・・・。

 本当に想定外すぎるんだけど・・・、この展開は想定してなかった、俺も俺以外の人も多分。


 そしてなんだかんだで一時間経っても目標は変わらなかったため結局キスする事が目標となったのだった。


 これじゃまるでただのラブコメ系ラノベの主人公みたいじゃないか!

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