想定外が多すぎだよ1
あれから数日後、俺たちはあの日から付き合い始めた。
でもまだ俺たちが付き合っているのを知っているのは当事者である俺と佐藤しか知らない。
幸いにも元々こいつは俺に馴れ馴れしく接して来ていたので全くと言って良いほど怪しまれなかった。
まぁ前から付き合ってる疑惑は出ていたので元々怪しまれていたから今更怪しまれないと言ったほうがいいか。
「結局怪しまれてるじゃね〜かよ」と言うのはなしの方向で。
とにかく付き合っていると言う疑惑は元々あったが確証は持たれていないと言う事だ。
つまり付き合う前から何も進展してないと言う意味で・・・・、その、キス、どころか、手すら繋いだ事がないし、何だったらあれからデートすらしてない訳でこれからどうなっていくんだろうなんて考えるのが日常茶飯事だった。
そしてなんと、遂に俺たち生徒が待ちに待った文化祭がそろそろ始まる。
準備期間が長いだけあって文化祭はなんと普通より一日長い・・・はずの四日間ある。
そ、そしてなんと言っても最近俺の彼女になってくれた、佐藤の誕生日が文化祭の最終日にある。
そんなこんなで今は文化祭二週間前になり授業内での話し合いで何をやるかはもうすでに決まっている。
それは、ずばりメイド喫茶!
まあありきたりかもしれないけどやっぱりなんだかんだで人気なんだよな。
特に男子の賛成意見が多かった気もするが。
とにかくあとぴったり二週間後に迫っていてそれは佐藤の誕生日も同時に迫っていると言う訳で。
俺は何故か緊張していた。
そして今は昼休み、粗糖とお弁当を食べている真っ最中だ。
「なあ佐藤そのお弁当お前が作ってるのか?」
「うんそうだよ〜、よかったら蓮の分も作って来てあげようか?」
「いいよ恥ずかしい」
「ふふ」
佐藤は少し顔を赧めながらもこの口元に手を当てながら笑っている。
俺にとってはこんな何気も無いこの会話もとても大切な日常の中の一つで何よりも大切にしたいものだった。
「それよりさ今更だけど俺の何がよかったんだ?」
こんなラノベ主人公のような質問をしているとやはり少し恥ずかしくなってしまい顔を背けてしまった。
そして同時によくこんなことを堂々とできるなと感心してしまったのであった。
「それはね、内緒」
「なんだよそれ」
そう、実はこの質問はこれが初めてでは無い。
もう何回も聞いているのに何故かいつも頑に答えてくれないのだ。
それが実は少し寂しかったりもしなくもなくもなくもない気がしなくも無い。
「なあ、なんでいつも答えてくれないんだよ」
「言ってるでしょ、内緒だから」
「それ理由になってなく無い!?」
「ふふ」
「はは」
でもこんな日常が俺には堪らなく嬉しかったし楽しかった。
でも何故かはしれないけど、たまに今でも加藤さんとのあの会話が頭をよぎる。
今ではもう思い出しても意味がないことなのに何故か佐藤と話していたら思い出してしまう。
そんな俺に俺は堪らなく嫌気がさしていた。
何故今でも思い出してしまうのかわからない自分に、わからないことを解決しようともしない俺に嫌気がさしていた。
「蓮、なんでそんなくらい顔してるの?」
「なんでもないよ」
「そっか、それならいいんだけど」
そんなに暗い顔をしているのか?、だとしたらいつもこのことを考えている時いつも同じ表情してるってことだよな、そんなの佐藤がかわいそうだよな。
そう思い笑顔を作りはっきりした声で、
「それより、そろそろデートしたいかな、俺は」
そう言った瞬間急に恥ずかしくなりまた顔を背けてしまった。
「いいね、明日の放課後にでも行く?」
「おう、いくいく」
なんだかあっさりとデートの約束できちゃったな。
あまりにも拍子抜けだったので肩から一気に力が抜けた。
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