番外編:七美の恩返し



間が空いてしまって申し訳ない!



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 むか〜しむかし、あるところにお爺さんとお婆さん……ではなく、相良 雪と、春渼 心音という女性二人が一緒に住んでいました。


 その二人はとても仲が良く———



「なんであんたみたいな女優と暮らさなきゃならないのよ。七美と暮らしたいのに……」


「知らないわよ。私だって七美ちゃんと暮らしたいわよ!」



 まあ……二人で暮らしていました。



 ある日、雪は芝刈りに出かけました。


 ある程度刈り終え、帰ろうとしていたが、沼の近くで猟師の罠にかかって苦しんでいる七美……じゃなくて一羽の鶴がいました。



「えーっと、台詞なんだっけ……。あ、鶴だからまだ台詞無いのか……。えっ?鳴き声?えーー……、ク、クェェ……。でいいのかな……」



 その姿と鳴き声を聞いた雪は、一瞬鼻血を吹き出しながら倒れそうになったが、持ちこたえた。



「ああ……!七美これ誰にやられたの!?私今からそいつのところ行ってボコボコにしてくるから!!」


「ちょ、雪……。ボクハ、ナナミジャナイヨ。ツルダヨ」


「待ってて!今からこれ取るから!」



 雪は罠をはずし、鶴の姿をした七美に抱きつきました。



「ちょ、ちょっと雪……。僕ここで一旦遠くに行かないといけないから……」


「ダメ!!今日の分の七美成分を補充します」


「七美成分って何!?」



 なんやかんやあり、雪には離れてもらい、七美は飛び立ちました。



〜〜



「お帰……あなたなんかツヤツヤしてない?何かあったの?」


「七美成分を補充しただけ」


「はぁ!?え………はぁ!?!?」



 雪が帰ってきた時はまだ太陽が沈んでいなかったが、口論しているうちにすでに夜となっていた。


 二人が口論をしている最中、ドアがノックされた。



「こんな夜中に誰だろう……」


「ちょっと、まだ話し合いは終わってないわよ」



 雪は玄関に向かい、ドアを開けました。するとそこにはとても可愛らしい男の娘がいました。



「夜分遅くに———うわっ!!」



 雪は台詞キャンセルをし、抱きつきました。



「誰だった……ってあぁ!!」



 心音はとある男の子、もといとある男の娘に抱きつく雪の姿を見て驚いていました。



「何七美くんに抱きついてんのよ!!」


「あー……七美〜〜」


「く、くすぐったいよ!や、やめて……!」



 今の状況は雪が七美の腹に顔をグリグリと押し当てている状況だ。


 そしてくすぐられている七美の顔はとんどんと赤くなっていた。



「ちょっと流石にやりすぎよあんた!」


「ぬぉっ……。ぐぬぬ、私と七美の貴重な時間がぁ……」



 心音が雪を引き離しました。



「はぁ…はぁ……」



 七美はその場に赤い顔をし、息を切らしながら座り込んでいました。



((なんか色っぽい!!))



 二人は内に潜む獣を抑制し、なんやかんやあって泊まらせることにしました。



 そして夜。七美がこんなことを言ってきました。



「お礼に糸を織らせて欲しいのですが、隣の部屋を使っていいでしょうか」


「ん?どうしたの七美。急に敬語になって」


「バカね。今セリフの途中よ」



 二人は許可し、隣の部屋を使っていいと言いました。ですが、七美がこんなことを言ってきました。



「糸を織る間は決して中を覗かな———」


「大丈夫!七美の約束は絶対守る!!」


「そう!死んでも守り通すからっ!!」


「う、嬉しいんだけど物語進まないから台本通りにね……」



 少し照れた様子で隣の部屋に入って行きました。


 そして覗くことがなく、後日。七美は見事な布を織ってきました。


 そして後日。また後日と、覗くことは一切なく時が過ぎて行きました。



「ねぇ!なんで覗いてくれないの!?」



 この家に来てから数日経った頃、七美はこんなことを言ってきました。



「え、だって七美が覗かないでって言ってたから覗くわけない」


「気になったとしても七美くんの頼みなら絶対覗かないわよ」


「うっ……」



 七美は二人に真剣な眼差しで言われたためまた顔が赤くなっていました。



「と、とりあえず!今日は覗いてね!」



 それだけ言い残し、七美は部屋へ入った。



〜七美side〜



「はぁ…これじゃあ終わらないよ……」



 雪も心音も全然台本通りに進んでくれないから、布を織りすぎて疲れちゃった……。


 まだ時間あるし……少しだけ……。



「……すぅー……」



〜〜



「じゃあ七美くんに言われたから覗くけど……本当に大丈夫よね?」


「七美が入ってと言った。七美のお願い事は絶対叶える。何が何でも」



 二人は七美が今いる部屋の前に立っていた。

 そしてとうとう二人は襖を開けました。


 するとそこには……———



「ぐーー………」



 ヘソを出しながらぐでぇっと眠る七美の姿があった。



「ぐあっ!!なんだとぉ!?」


「な、七美くんは私たちを萌え殺そうって考えているの!?」



 雪は目を抑えて“ウガァァ!”と言って、心音はその場でグハッと言いながら壁にもたへかかっていた。



「んがっ……あぇ、雪と心音さん…?はっ!!寝てた!!」



 七美はボーっとしていたが一瞬で眠気を吹き飛ばした。



「えっと……見られてしまったからには出て行かないといけない!……だったっけ…。あれ?二人ともどうしたの?」



 雪と心音はプルプルと震えていた。どうやら怒っているようだ。



「このストーリー考えた奴誰だァ!ボコボコにしてやる!!」


「許せないわねぇ……権力を使ってどん底まで落とそうかしら……」



 ヒッ……。お姉さんたちユルシテ……。



「ちょ……二人とも怒るのは良くないよ!怒った顔より笑ってる顔の方が僕は好きだし……」



 と、七美は最後のほうはゴニョゴニョと聞こえないぐらい小さい声で喋っていたが、二人は聞き逃さなかった。



「そうね!七美の言う通り!」


「じゃあ七美くん、まだ出て行かないでね!絶対!!」


「え…?まあ……もうストーリーぐちゃぐちゃになってるからいっか……」



 なんやかんやでツル(七美)はそのまま二人と一緒に暮らしたとさ。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


いや〜死ぬかと思いました。


本調子が戻らなかったので番外編を書いてみました。

また期間開くかもしれませんが、長くは休みません。

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