第31話:昇天
「みんなおはよー」
「おすおす、七美」
「七美くんおはよ〜」
「ちゃす」
「ハロハロー、ハロハロハロー」
教室に入り、みんなに挨拶してから僕は自分の席に着いた。
一時間みの用意をしていると、誰かを探しに来たのかはわからないが別のクラスの二人がドアを開けてキョロキョロとクラスを覗いていた。
「なー、ここのクラスに七美ってやついる?」
「?」
僕のことだ。何かあったっけ?ていうかあの人たちのこと僕知らないや…。
「あの……僕が七美だけど……」
「うわっ!本当に噂通りだぜ!」
「まじで男なのかよお前」
「……?どういうこと?」
僕はれっきとした男の子だ。なんでそんなこと聞くんだろう。
「は?そんなのお前がかわi———グハァッ!」
「えっ!?」
目の前にいた男の子がいきなり消えた…と思ったら横から飛び蹴りをするクラスメイトの姿があった。
「な、何やってるの!?」
「あー…悪い悪い、こいつ俺のダチでなぁ。んじゃあまた後でな」
「え?え?」
「お、おいどこに連れてくんだよ〜」
飛び蹴りされた男の子は引きずられながら連れてかれ、もう一人来ていた人はそれを追ってどこかへ行ってしまった。
引きずっていた男の子は去り際に「Code.773・No.43にかけて……」って呟いていた気がするけど……よくわからなかった。
「ねぇ、みんな。“噂”って何か知ってる?」
「「「「「ギクッ」」」」」
僕が言うと、みんな体をビクッとそっぽを向いてしまった。
僕は何か知っている、と思い、近くにいた僕より背の高いクラスメイトの男の子に話しかけた。
「ねぇ…なんで教えてくれないの?僕にも教えてよ……」
「グハァッ!!!」
今の七美は“自分よりも背の高い人”に近づき上目遣い+みんなが知っている噂を自分だけが知らないということで“涙目”も追加。
さらには涙ぐんだ声というなんともチート反則級の技を仕掛けたのだ!
そして案の定、そのクラスメイトは保健室運びになった。
「大丈夫なのかな…」
いきなり倒れちゃったけど…でもなんで倒れたんだろう。貧血とか?
そんなことを考えていると、クラスメイトが噂のことを教えてくれた。
「コホン!えーと、だな。七美はカッコいいからっていう噂で見物に来る人がいるらしいんだよ(こんな嘘通じるか…?)」
「えっ!?カッコイイだなんて……僕そんなこと言われても嬉しくないぞ!!」
笑顔を隠しきれず、ニヤニヤとはにかんだ笑顔になっていた。
(グァァァァ!!なぜそんな可愛いんだぁ!!)
(カッコいいじゃなくてカワイイ極振りだろうがァァァ!!)
(あー、くーそかわいいー!!)
(目がァ!目がァ!!あの笑顔は太陽よりマブスィ〜!)
(嗚呼…この世に一片の悔いなし……)
七美は嬉しそうな笑顔で。クラスメイトは今にも昇天しているような顔であった。
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わたくしこと、カエデウマは、Code.773・No.1001番。
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