十二魔将

十二魔将会談(後)


「以上で報告を終わります。質問のある方はいらっしゃいますか?」


 皆沈黙で答えを返す。


「では十二魔将からの報告は全て完了しました。魔王様、最後に一言お願いします」

「うむ」


 玉座に座る魔王が告げる。


「今週もよく使命を果たしてくれた。大儀である。これから新しい事業を行う者がいるが、失敗を恐れずに取り組んでもらいたい。諸君らの働きに期待する」


 一拍置いてから、


「明日と明後日は休日だ。仕事をせずにしっかりと英気を養うように。以上だ」


 十二魔将達は、片手を胸に当てて一礼する。


「本日の十二魔将会談はこれにて終了とします。解散!」


 進行役のマリーナの合図で魔王以外の全員が退出する。


 一人王座の間に残った魔王は玉座から立ち上がり、部屋を出る。

 体長5mもある魔王をですら小さく感じさせる巨大な通路を歩きながら、書斎に戻る。


 時間はまだ昼前。『七つの冠セブンスクラウン』達から届いた書類を手を付ける。


 スキル『並列思考』、スキル『未来分岐予知』、魔術【思考加速】、魔術【書類作成】で数百枚ある書類を2分もかからず片付けてしまった。


 一息付いて書斎を出る。


 廊下では侍女と執事達が掃除をしている。魔王が近付いてくるのを感知すると、一旦作業の手を止めて整列し、片膝を付いて片手を胸に当てる忠誠の姿勢を取る。


「レイ、サイファン、ナナミ、ブブ、ディー。今日もよく働いてくれているな」

「「「「「勿体なきお言葉です。魔王様」」」」」

「謙遜するな。お前達が隈なく掃除をしてくれているからこの魔王城も輝いている。故に皆快適だ」

「「「「「ありがたき幸せ」」」」」

「明日明後日は休みだ。しっかりと休み、英気を養うように」

「「「「「仰せのままに、魔王様」」」」」


 魔王はその場を後にし、城にある『転移門テレポートゲート』がある大部屋に到着する。


「今日の行先は、『十二魔将 ラディオン』の管轄領域」


 転移門が起動し、光が走る。光が門の中を一杯にすると、向こうへのパスが繋がる。


「さて、行くか」


 魔王は転移門を潜り、日課の視察へ向かうのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る