第27話

ロンドでの変異体の侵攻と同時期に、多くの街も同様に変異体の被害に遭い、大勢の犠牲者が出ていた。

そんな中、タンザラスの街では多少の犠牲は出たものの、全ての変異体を殲滅することに成功していた。

タンザラスには他の街とは違い、軍の基地や議会の協力も受けていない。にも関わらず、群れをなす変異体達を殲滅してのけたのだ。変異体の脅威が去ると、隠れていた住人達が外に出て、そこで異様な光景を目の当たりにする。

死体の山と化した変異体の上に立つ両腕両足が機械仕掛けの若い男と、その男を抱きしめている長く伸びた金髪の美しい女性を。

住人達は彼らにお礼をしようと近づくが、住人達の姿を見るや否や、男は女性を抱きかかえて空高く飛び去っていった。


「救世主だ・・・。」


住人達の中の誰かが呟いた。すると、住人達は次々と膝まづき、彼らが飛び去った方へ両手を合わせ、祈りを捧げた。




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