~鬼女~4
おじいさんのいる
男性と女性の鳴き声が聞こえる…
「親父ぃ~…」
光一さんの両親だとすぐにわかった…
光一さんにもその声が聞こえたんだろう
つらそうな表情をしている…
「やっぱり先に光一さんの病室で話をしようか?」
「すいません…
そうしてくれたら助かります…
あっ占竜さん…
それと俺のことは光一って呼び捨てにしてください!
占竜さんかなり年上ですし…
その方が、気合いが入るっていうかなんていうか…」
占竜はわかったよ光一って言うと
背中をポンって叩いて光一の病室に向かった…
光一の病室につくと椅子に座り
光一に今まで何があったかを聞いた…
「倒れるちょっと前から教えてもらえるかな?」
「はいっ
俺が倒れたのは居酒屋の二階…
俺の部屋です…
テレビを見ていたら
急にテレビ画面にノイズが走り
おかしいなって立ち上がった時に
心臓を何かに掴まれた感じがして
スッゴく苦しくなってきたので救急車を呼んだんです…
救急隊員が駆けつけてくれた時には意識がなくて…
気が付いたら病室でした…
じいちゃんの声は聞こえていたんですが
他はわからなかった…
目が覚めた時は和美ちゃんが側にいて
俺の胸に占竜さんの護符をあててくれていたんだ…
両親とじいちゃんは俺の家で寝るから帰って行ったと
和美ちゃんに後から聞かされたんです…
その時、親父もお袋もじいちゃんも
お見舞いに来てくれていたんだなって気づいたんです」
「そっか…
光一が意識不明なのに
なんで両親とじいちゃんは光一の家に行ったんだろな?
医者が大丈夫って言ったのかな?」
そのことは私がと佐藤さんが話してくれた…
「私が占竜さんの護符を持って来た時には
ご両親もおじいちゃんもいなかったから
看護婦さんに聞いたんです…
おじいちゃんが、どうしても光一さんの
家に行くって両親ともめていたみたい…
仕方なくお医者さんに相談してみたら
意識はないけど安定しているから
大丈夫ですよって言われたみたいで
光一さんの家に行ったみたいです」
光一さんも知らなかったのだろう
「そうなんだ…
占竜さん、なんで爺ちゃんはそんなに家に行こうとしたんだろ…」
「おじいさんは、俺が行くから光一を返せって言っていたんだろ?
光一が倒れた原因…
おじいさんにはわかったんだろうな…
光一を助ける為にはあの家に行かないと無理だって…
俺も佐藤さんに護符を預けて光一の店に行ったよ…
俺が店についた時には人だかりができていて…」
「爺ちゃん…」
トントン…
病室のドアをノックして
光一のご両親が入ってきた…
占竜はご両親に挨拶をすると
父親がどなたですかと訪ねてきた…
「占術師をしている占竜という者です…
光一さんを占ったことがありまして…」
と話の途中なのに父親は占竜の手を握りしめた…
「あなたが光一を救ってくれた占竜さんですか!
ありがとうございます!
正直信じられないですが
和美ちゃんから占竜さんの護符を光一にあてたから
意識が戻ったんだよって聞いています!
申し遅れました…
私は光一の父親で
こっちは家内の
「自分はたいしたことはしていません…
お爺さんが光一さんを救ってくれたんですよ…
この度はご愁傷様でした…」
と頭を下げた…
「親父が亡くなって気が
自分で見たことを信じられない…
親父が倒れた時の話を…
聞いてもらえませんか?」
占竜はぜひ聞かせてくださいとお願いした…
佐藤さんが看護婦さんに椅子を借りに行ってくれて
病室でみんなで輪になり
登さんの話を聞こうとしたが
久恵さんだけは、おばあちゃんに連絡入れてきますと
話を聞きたくないのか病室を出て行った…
登さんは目を
「親父が光一に会った後に
すぐ光一の自宅に連れて行けって言い出したんです…
今はもう少し光一の側にいてやりたい…
どうせ今日は光一の自宅に泊まるからっ待ってくれよ…
先生にも話を聞かないといけないからて言うんですが
早くしろの一点張りでした…
今思えば…
あんなに真剣な目をした親父見たことなかったなぁ…」
病室の気が重くなってきた…
占竜の表情が
「登さん…
少し待ってください」
占竜は登さんの話を中断させると
並みの
病室の
水晶にはそれぞれ文字が彫り込まれている…
占竜は水晶一つ一つに何か呪文を
「すいません…
お待たせしました…」
占竜は登さんに頭を下げると話を聞き始めた…
「仕方なく医者に相談して
光一の自宅に行ったんです…
光一の自宅に近づくにつれて
親父の様子がおかしくなってきました
汗をかき、震えだしたんです…
親父大丈夫か?って言うと
『武者震いだ!』と言っていました…
その時は言っている意味がわからなかった…」
登さんは涙を見せたくないんだろう…
ずっと
「光一の店につくと親父は何があっても下で待っていてくれと言って
一人で二階に上がっていったんだ…
親父の言いつけを守らずに慌てて二階にあがりました…
二階では親父が壁にむかって…
『光一を返せぇぇぇ!』って…
壁を殴っていた…
血だらけの
親父が狂ったと思っていたよ…
久恵と親父を止めに入ろうとした時…
壁から女の手が出てきて
親父の胸に手を突っ込んだんだ!
親父は壁から出た手を掴み…
凄い形相で『俺はくれてやる!』
だから光一を離せって叫んでいた…
壁からでた手は親父の体から白い何かを抜き取ったんだ…
その後、オヤジは倒れたんだ…
親父に駆け寄り…
大丈夫かって話かけたら親父は苦しそうに…
すまない…光…一との道は切れな…かった…
奴…に対…抗しようとしている人が…
光一の…側にいるは…ずだ!
探し出して助け…を求め…ろ…
すまない…
情け…ない…
親父だった…な…
これが親父の最後の言葉に…」
登さんは泣いているのだろう…
床が濡れていく…
占竜がコッソリと光一に
と聞くと光一は泣きながら
おばあちゃんですと言い
病室からでた久恵さんは電話をかける為
病院の外にでた…
病院の外で携帯からおばあちゃんに連絡をとろうとしていたら
タクシーが目の前にとまった…
タクシーが気になり見ていると
中からおばあちゃんがおりてきた…
えっ?
お義母さんには
まだ連絡入れてないのに…
「お義母さん!」
おばあちゃんに駆け寄り泣き出す久恵さん
それを見たおばあちゃんは
光一は無事?と久恵さんを抱きしめながら聞いた…
「光一は…光一は…
無事なんですが…」
言葉をつまらせる久恵さんを見たおばあちゃんは
「
やっぱり
と久恵さんの頭をなでながら
久恵さんはお義父さんが亡くなったのを
連絡してないのに何故知っているかを
聞こうと思ったが言葉がでなかった…
すると道代さんの方が先に久恵さんにお願いしてきた…
「久恵さん…
先におじいちゃんのところに連れて行ってもらってもらえるかしら?
登や光一に会う前に会っておきたいから…」
道代さんは久恵さんに
おじいちゃんがいる霊安室へとむかった…
霊安室に入ると道代さんはおじいちゃんの手を握り…
涙を流した…
「和雄さん、頑張りましたね…
あなたと歩いてきた人生…
私はとっても幸せでしたよ…」
そうおじいちゃんに言うとおばあちゃんは肩を震わせていた…
病室では登さんが話を続けていた…
「親父と一緒に救急車で病院に運ばれ
親父が亡くなり打ちひしがれている時に
光一の意識が戻ったことを医者に聞かされたんだ…
その後に光一の病室で和美ちゃんに護符をあてたら意識が
戻ったんだよって聞かされました…
正直、神様や霊なんぞは信じていなかった…
親父やお袋は信心深かったけど…
正直馬鹿にしていたよ…
占竜さん…
親父は奴に対抗している人を探しだせと言っていた!
護符の話を聞いて確信しましたよ!
親父が言っていたのは占竜さんのことなんだって!
親父の
占竜さん力をかしてください…」
登さんは占竜に頼み込んだ…
「
命に変えても奴だけは自分が何とかします…」
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