~鬼女~3

占竜が喜びを伝えたのが光一さんの心の揺さぶってしまい

泣き崩れてしまった…



「…くっ…そっそれがぁ…


良くな…いんですよぉ…


俺は…


俺は…


助かったんですがぁ…


じいちゃん…がぁ」



泣き叫びながら光一さんは喋り続ける…



「じいちゃんと両親…


俺が倒れ…たがら…


ぎで…ぐれだんでずよぉ…


意識のない…俺に…


じいちゃんがぁ~

俺が光一のがわりに行ぐがらぁ…


光一を返せぇ~って!


光一死ぬなぁって!

手を握ってぐれだんですよぉ…


意識がなくでもわかったんですぅ…」




…  







「おじいさんは?…」



「いっ今…


心筋梗塞しんきんこうそくでぇ…」




「話はわかりました…


もう…喋らなくていいですよ…


今から俺も病院に行きます…


光一さん…


かたきをとりましょうね…」



占竜は夜にもかかわらず

サングラスをかけ病院にむかった…





おじいちゃん・・・



自己犠牲か…



占竜はポツリとつぶやき…


病院へと向かう…


死者をだしてしまった…


救えなかった…


1ヶ月位は猶予があるとタカをくくっていた…


その間に光一さんを口説き落とすかなと甘い考えを…


それを読まれたか!


だからヤツは早くに手を打ってきたのか!


では、おじいちゃんを殺してしまったのは誰だ…


俺じゃないのか?


俺が…


安易にタブーの死期を占って判断を誤ってしまった…



死期を早めたのは俺じゃないか!









おじいちゃんは死なずにすんだかもしれない…




俺のせいだな…




やりきれない思いが心の中を駆け巡る…



このままではダメだ…


負の感情を持つと相手の思うつぼだ…


冷静になれ!…



さらなる犠牲者をだすわけにはいかない…


そう考えて落ち着こうとはするが

心が悲鳴をあげ現実から逃げ出したくなり

死にたくなる…


病院まではまだかかる…


占竜はコンビニにより

缶コーヒーを買うと煙草に火をつけ病院に向かう…


占竜の心が悲鳴をあげ続けているのを

何かが元気づけようとしてくれたのか

ラジオから占竜が苦しい時によく聴いていた唄が流れ出した…



※【著作権に触れる恐れがある為割愛します

 どんな唄が流れたかはホムペに記載してます】



病院に着き車を駐車場にとめ

光一さんの病室は何号しつかを聞こうかと受付に向かうと


そこには光一さんと佐藤さんが待っていた…




「占竜さん!


来てくれたのですね


ありがとうございます」


と少し光一さんは冷静になってはいたが

かなり泣いたのだろう…


目が真っ赤に腫れあがっている…


愁傷様しゅうしょうさまでしたと占竜は

言葉につまりながら頭を下げた…



しかし、次の言葉がでない…



頭をあげられない…



そんな占龍に光一さんがボソボソと問いかけてきた…




「占竜さん…


占竜さんが言ってくれたように引っ越していれば

おじいちゃん死なずにすんだのかなぁ?…」




凄まじくキツイ質問だった…


自分がもっと真剣に光一さんを説得していたら…



自分が死期を占わずに

強硬手段きょうこうしゅだんでもかまわないから

すぐに行動していれば…



色んな考えが頭の中をめぐった

心の中で光一さん…



すまない…



すまない…



と何回も謝り頭をあげた…



頭をあげた占竜は次なる戦いの為に備え

表情を変えずびの言葉も言わず光一さんに返答した…



「それはわからないですよ…


過去は変えられないんです…


あの時にこうしていたらって考える時間があるなら

これから自分に何ができるかを考えるべきですよ…


でも光一さんは無事でよかった…


もう歩けるんですね…」



占竜は表情を変えずに喋っている…



それを聞いた光一さんは…



「何が良かったんだ!


じいちゃんは苦しんで死んだんだ!」



光一さんが占竜につかみかかってきた…


だが占竜はどうなるか予想して喋っていたのだろう…


顔色を変えずに黙って光一さんに殴られるのを待っていた…




「光一さん落ち着いて!」


佐藤さんが止めに入ってくれたお陰で

占竜は殴られずにすんだ…



殴られた方がスッキリするんだがなと思いながら

ここでお話するのも何だし

場所を変えましょうと光一さんの病室に向かった…





病室に向かう途中、光一さんは占竜に話かける…



「すいません…


俺が全部悪いのはわかっているんです…


占竜さんの言うことを聞いていたらと思うと…


すいませんでした…


詐欺師呼ばわりして…


俺がじいちゃんの変わりに死ねばよかっ…」


ドガッ!





占竜が光一さんを殴りつけた!



「それ以上言うなぁ!


おじいさんは我が身を犠牲にして

孫を守ったんだろうがぁ!


その行為を無にするような言動は許さない!


俺は詐欺師だよ!


何もできなかったんだ!


悪い道に向かっているのをわかっていながら

止められなかったんだ!


俺なんか詐欺師で十分なんだよ!


だがなぁ!


俺はこのまま泣き寝入りするつもりはないぞ!


光一!


てめえぇ、このまま泣き寝入りするつもりかぁ!


おじいさんが切り開いてくれた運命!


死ぬ気で幸せをつかみ取るのが

命をかけて守ってくれたおじいさんに対する礼儀だろうがぁ!」



ハァハァと占竜は息を切らし光一を見つめる…



いきなりの出来事で佐藤さんも止めにはいれず唖然あぜんとしている…


占竜は頭を激しくふり

唖然と見ている光一に話かけた…



「すまない…


だがな光一さん…


今この時…


命あることに感謝し…


おじいさんの勇気にも感謝しようや!」



占竜は殴った時に倒れた光一に笑いかけ手を差し伸べる…



「はい…」



光一は占竜の手を掴んで立ち上がった…


「光一さん…


すまない、病室で話をする前に

おじいさんに会わせてもらえないかな?」




「はい、じいちゃんはこっちの霊安室にいます」



光一さんは占竜に殴られ気合いが入ったのだろう…



病院についた時は死んだような目をしていたが

今は生き抜いてやると目に生気せいきが感じられる…


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