無計画ランディは魔法を屠る

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 秋葉原の駅前広場では、多くの人間が倒れていた。その数五〇名以上。性別、年齢などはランダムで、多種多様な人間が昏睡状態であった。

 区画封鎖は完了し、赤いパーカーをきたB級医療班による回復処置も開始されている。そんな様子を横目に、現場を一瞥する。

 被害者たちは、気持ちよく寝ているようにしか見えない。

 転倒時に打ちどころが悪かったのだろうか、左半身を痙攣させながら寝ているひと。

 耳から流血させながら眠る人。

 彼らは自分が置かれている状況を理解し寝ているのだろうか。


 通報者は、魔法系の学校に通う生徒だった。しかしそんな彼も、数分前に意識は消えたようで、地べたに倒れこんでいた。

 通報内容は、人々が倒れえている様子をただ伝えられただけで、有力な情報などはなかった。

 ただ俺には、何が起きているのか大体予想はできていた。

「ランディ捜査官、ありましたよ。使用者はこの二名です」

タブレットを見せながら話しかけてきたのは、鑑識の男だった。そこには男子学生二人が表示され、魔法ランクCという優秀なデータも記載されていた。

「ありがとう、二人とその関係者全員うちに回してくれます?」

「わかりました。遮断拘束服はどうします?」

「厳重に。それと、重武装で運んでね」

男は何かを察したような険しい表情を見せ、深く頷き、護送班を募らせ視界から消えてった。

 俺は深くため息をし、結論づけようとした。

 これは事故だ。相互干渉による脳虚血だろうと。

 周囲の防犯映像と、魔法発動検知システムによれば、一時間前ここでは喧嘩が行われたらしい。

 けれども、それはただの口喧嘩で、お互いの知りえた魔術でマウントを取り合うちっぽけな言い争いだった。若気の至りかそこで熱が入りすぎ、軽く魔法を使ってしまうのはさほど問題ではない。

 それだけならよかった。

 しかし、彼らの話している内容が最大のミスだった。

 

 先月、地下で発覚した新しい魔法概念がある。

 使用者は魔法適正ランクC以上に限られ、それ以下の者は発動すらできない変わった概念である。

 通常、俺たちは結果をイメージすることで、周囲からマナを吸収し、魔法を発動させており、レベル関係なく適正者であれば発動可能なのだ。

 初心者は詠唱で発動できるが、慣れれば結果のイメージを行うだけで発動可能な、世界シェア第一位の基本概念である。

 そして、問題の新しい概念とは。

 それは、魔法の二重発動を可能にする概念。らしい、ということしか俺にもわからない。

 彼ら二人は、これを話題に討論し、熱くなり発動させてしまったのだ。

 結果それらに堪え切れす、周囲にいた五〇名近くの人間に感染し悲惨な状況を招いたことになる。

 少し離れたところで回復術式を使う医療班に俺は警告する。なんせ彼は必死に助けようと、被害者の顔を凝視する仕草があったからだ。

「おい、自閉魔法は発動させておけよ。お前も巻き込まれるぞ」

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