小雪ちゃん(2)

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。

本日は前回の続きで、小雪ちゃんのお話です!


雪だるまのお客さんは初めてで、どんな物が好きで、普段どんな物を食べているのか全くわからないので、私のお店で提供しているものが小雪ちゃんの口に合うのか正直わからない。


「小雪ちゃん、一先ずこちらの席へ」

「ありがとう」


私はあまり日の当たらない席に小雪ちゃんを案内した。



「葵ちゃん、小雪ちゃんのオーダー任せてもいい?」

「わかりました!」


一体小雪ちゃんがどんな物を注文してくるのか。うちに今あるもので提供できるのか。


「サテラさん、オーダー取ってきました!ホットサンドだそうです!」

「ホットサンド?雪だるまなのに?そんな暖かいもの食べて大丈夫なの?」

「大丈夫みたいです」


雪だるまなのにホットサンド…。溶けないのだろうか…。

しかし、注文が入ったからにはしっかり作るけれど。


「葵ちゃん、私が小雪ちゃんの所まで運ぶね!」

「わかりました!」


私は、焼き肉マヨホットサンドとハムとチーズのホットサンドを小雪ちゃんの元へと運んだ。


「お待たせしました!2種のホットサンドです」

「美味しそうだね」

「丹精込めて作らせて貰ったので」


小雪ちゃんは、焼肉マヨホットサンドを小さな口で頬張る。


しかし……


私の予想は当たっていた。ホットサンドを食べた小雪ちゃんは溶けてしまったのです。


「小雪ちゃん、溶けちゃいましたね」

「だね。やっぱり暖かいものはダメだったみたいだね」


雪に暖かいものや暑いものを与える事は、火に油を注ぐようなものだ。

初めから分かってはいた、小雪ちゃんがどうなるのか。

それでも、注文が入ったらー


「勝手に殺さないでくれるかな?」

「??!」


と、本日のウィッチカフェはここまで。

次回も、小雪ちゃん編です!

溶けてしまった小雪ちゃんの声が?一体どうゆう事なのか!


では、いい夢を🌙



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