バッタさん

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と人間の女の子が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


トンッ。トンッ。


「ん?サテラさん、どこからかトントンっていう音が聞こえませんか?」

「あそこの窓を見てみて?誰がトントンしてるか分かるから!」

「窓ですか?」


葵ちゃんは、少し不思議に思いながら窓の近くに近づく。

ガラガラ。


「あ!サテラさん、バッタがいますよ!」

「バッタさんはうちの常連さんだよ!」

「そうなんですか?!」


バッタさんはこのお店が出来た当初から来てくれている常連さん。

しかも、週に一回は絶対に来てくれる。


「今日もお仕事終わりですか?」

「…………」

「お疲れ様です!」

「え、サテラさん、バッタさんの言葉が分かるんですか?」

「もちろん!魔女はいろんな生き物の言葉が分かるからね!」


魔女は虫の言葉も学ぶのだ。

犬の言葉を学んでいた時は、気分が乗らず勉強を疎かにしていたが、何故だか虫語の時は熱心に勉強していた。


「いつものでいいですか?」

「……………」

「かしこまりました」


バッタさんのいつものと言うのは、キュウリだ。

バッタは、葉っぱなども食べるが、キュウリやリンゴと言った人間が食べるようなものも食べるのだ。


「お待たせしました!キュウリです」

「……………」


バッタさんはキュウリに飛びつき、少しづつ食べて行く。

こんなにも小さな体をしたバッタさんが、自分の体よりも大きいキュウリを食している。

どんなに小さい生き物でも生きているのだなと思わされる。


「……………」

「美味しかったですか?ありがとうございます!」

「…………」

「はい!また来てくださいね!」


バッタさんは、キュウリを食べ終わると開けてあった窓から出ていき、森の中へと姿を消した。


「私も虫の言葉が理解できるようになりますかね…」

「まぁ、それは勉強次第だね」


と、本日のウィッチカフェはここまで。如何だったでしょうか?

本日のお客様はバッタさん。常連さんは大事にしなければいけませんね!

さて、明日はどんなお客様が来てくれるのでしょうか!?お楽しみに!


それでは、いい夢を🌙




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