傲慢の魔女さん

ここは、町はずれの一角にひっそりとある、一人の魔女と子犬が営むカフェ。

『ウィッチカフェ』

一般のお客様には見えないように魔法が掛けられており、店の前に斜めに置かれてある看板を、まっすぐに直すとお店が現れるという仕組みになっている。


ひっそりと営業しているウィッチカフェには、いろいろなお客様が訪れる。

いろいろな種族、動物、時には一般のお客様も。

仕事の合間に来る人や、ちょっとした観光、常連さんになってくださっている方も多い。

そんな方々の、ちょっとした憩いの場なのです。


さぁ、本日はどんなお客様が来てくださるのでしょうか?


カランコロン。


「いらっしゃいませ!」

「あなたここの店主かしら?」

「は、はい」

「1人なのだけれど、いいいかしら?」

「はい。こちらの席へどうぞ」


このお客様はどこかのお嬢様なのだろうか。話し方、服装がそう思わせる。


「あなた、椅子を引いてくれるかしら?」

「は、はい」


私は、言われるがままに椅子を引いた。


「くるしゅうない。良き働きだった」

「………」

なんだか、ものすごく見下されている気がした。


「ご注文はどうされますか?」

「そうね、あなたが私の口に合うと思うものを選んで持って来て頂戴」

「お口に合うと思うものですか?」

「そうよ。もしかして、そんな事も出来ないのかしら?」

「そんな事は無いです。少しお待ちください」


私は少し腹が立ち、これでもかと言わんばかりの勢いでキッチンへと入った。

しかし、いざ作るとなると頭を抱える。

「あのお客様の口に合うもの………」

正直全く思い浮かばない。


お口に合わないものを出した時には「あなた、こんな事も出来ないのね。この店潰すわ」と言われそうだ。


「お待たせしました。普通のコーヒーとミルフィーユになります」

「普通のコーヒーですって?」

「はい」

私は、お客様の圧に負ける事なく答えた。


「普通のコーヒーなんて私飲めないわよ。だって庶民的な味なん――」

「まぁ、一度飲んでみてください」


私は、お客様が喋っているのを遮り、言った。


「あなたがそこまで言うのなら飲んであげようじゃないの」


お客様はそう言って、一口コーヒーを飲んだ。


「な、なにこの味!こんなコーヒー飲んだことないわ」

「このコーヒーの豆は、うちで育てているんです」


今まで秘密にしてはいたが、うちのコーヒー豆は自家製なのだ。


「恐れ入ったわ。そうよ、うちの専属パティシエにならない?」

「え?!」


本日のウィッチカフェはここまで!如何だったでしょうか?

本日のお客様は傲慢の魔女さん。そして、未だに名前が明らかになっていないが、次回明らかに!そして、新たなお役様も乱入?!お見逃しなく!


それでは、いい夢を🌙

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