日本改造
第7話 希望を託して
コロナ禍の中、今までのままではいけない。と思われている。世界レベルでも、国レベルでも、個人レベルでも。経済成長一本鎗の発想から抜け出して、立ち止まって、一服してよく考えなさいとコロナは云っているのだと思う。
今年、最も注目された国際機関と云えばWHOであろう。グローバル化の今日、国際機関の必要性が高まっても低まることはない。こんなことを書いていたら、WFP(国際連合世界食糧計画)が今年のノーベル賞に決まったと発表があった。しかし、現実はこのWHOでもアメリカがコロナを巡って脱退を表明した。確かに、パンデミックを想定していないような初動の遅れがあった。2009年~10年の新型インフルエンザのパンデミック宣言の不発の苦い経験があったことが作用したと思われる。グローバルがますます進むこれから、パンデミックは今回限りとは到底思われない。
大本の国連に於いても、紛争を防げない安保理の改革が言われている。戦後75年も経って常任理事国が戦勝国だけと云うのも変だ。敗戦国とされたドイツ・日本もその後の歩みを評価すれば、その道があって然るべきと思う。日本も手を上げたと云うが、本気なら核兵器禁止条約を批准しない、アメリカの51州と見られるような振る舞いを止めるべきである。
リーマンショックはアメリカ、コロナショックは中国、大国の狭間で翻弄されるのはモー沢山。そういう意味での「自国第一主義」ならいいものだと思う。アメリカの核が全てではない。
AI・5Gの先端技術、これらは生産性や人々の生活の利便性の向上に役立つだろう。しかし全てではない。またこれらの技術の開発に加われる国は限られている。
日々感じる地球の温暖化、異常気象、新たに加わったパンデミック、人口増に対する食糧の問題*もある。
アフガンの二人の医師*で述べたように、GDPや経済効率だけで評価できない、社会的共通資本とされる環境・医療・農業・教育という人々の暮らしに直結する基礎分野をもっと見直す必要を感じる。特に後進国とされる国々はいきなり先端技術国家に変身できるものではない。これらの分野の地道な積み重ねが結局最後にものを言うと思う。
東京―大阪を1時間と少し短縮するために10兆円かけた地下トンネル・リニア新幹線が必要なのだろうか。利便性の追求にも限界があっていい。
人工授精と受精卵、遺伝子工学、ゲノム編集と生命科学の発展は著しい、植物・動物だけでなくこれらが人間にも応用されるとき、何処までが許されるのか。不妊治療がクローン人間という暴走に変じないか、私は真剣に恐れている。限りない欲望に歯止めをかけることも必要ではないか?
個人レベルでは、住宅ローン返済と満員電車での通勤で人生の半分を過ごす生活が決して豊かな生活とは思えない。子供を産みたい、ゆっくりした環境で育てたいと思っている女性も多いだろう。1千万都市での暮らしの限界は、今回のコロナ禍の中ではっきりした。
今は昔、こんな標語があった。『せまい日本、そんなに急いでどこに行く』、確か交通安全週間の標語だったと思う。これに倣うなら、「小さな地球、そんなに急いでどこに行く」である。2050年には人世界の人口増は97億人でやっとストップし、人口減に転じるとされる。成長社型社会から定常型社会*への転換点になる。成長が止まり、人口が減少、日本はその先端を行っていると考えたらいい。
飛行機が飛ばなくなった世界の空は綺麗になったという。中国の人は、このコロナで一ついいことがあったとしたら、北京の空が綺麗になったことだと云う。綺麗な空気を吸って、一度休んで、ゆっくり考えて、以前と違う一歩を進めること。16歳の少女の勇気に負けないように!
私に出来ること?小泉元首相にお手紙書くことしか出来なかった(笑)、若い人に期待するしかない。16歳の少女には、電算機はなくても〈そろばん〉で銀行は機能していたし、自動車はお金持ちの家だけで、それでも路面電車が走っていて庶民は不自由しなかったとか、ガリ版刷りの先生のプリントは点数が悪くても捨てることが出来なかったとか、別段不便とも感じず、ゆっくりし時間が流れていた、そんな昭和の時代を語るぐらいなことなら出来る。飛行機の代わりに船に乗る彼女なら、退屈せず興味を持って聴いてくれるかもしれない。
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