第56話
ルッカ視点
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王都にきて数日、料理も美味しくないし(料理人は連れてきたがまだ見習いでしなかく王都の料理人と上手く連携が取れてない)ユーコに会えないのはこんなにも辛いとは思わなかった。
しかし、即位するとなるとサーユという娘のいるユーコと結婚するのは周りの反対が大きいのと王妃という立場を彼女に押し付ける事は出来ないし、彼女を愛妾にすることも出来なくは無いが、自分自身そんなのは嫌だし、サンクート様からの神罰もくだりそうだ。
本来なら来年従兄弟の王太子が即位する予定で準備が進んでおり母の兄である国王はここ数年体調不良で公務をほとんど行っていなかった為王太子がこなしていたと言うからより状況が難しくなっている。
そのため慌てて王都にきて王城で公務を代わりにこなしているのだが、諦めないといけない恋心が諦めきれずユーコとののんびりした時間が恋しい。
今日あたりに伯爵邸から後追いの荷物が届く頃で、もしかしたらユーコが何か日持ちのする焼き菓子でも一緒に持たせてくれているといいなと現実逃避をしていると。
「ルッカ様、王都お屋敷から伝言です。」
執事で乳兄弟でもあるマルセルが屋敷に荷物が届いた連絡を受けたらしいがそんな事を今私に伝えるなんて珍しい。
「何かトラブルでもあったのか?」
「いいえ、トラブルではなくユーコ様が一緒に居らしたそうです。」
「ユーコが!?」勢い良く立ち上がった為重厚な椅子がバタン!と大きな音を立てて倒れてしまう。
その音に扉前の護衛が飛び込んできてしまったが、そんなのどうでもいい。
「屋敷に戻る!」
「ここは任せておけ。」
なんて頼もしい執事だ!
「任せた。」
王都別邸に駆け込むと出迎えてくれた者にユーコがサロンにいることを聞きそのままなりふり構わず中に入ったのは後から冷静になってやってしまったと思ったがユーコは少しびっくりした顔をしたが嫌がることは無かった。
なぜ王都に来たのか?と聞くと夜にでもと返事が返されるがとてもじゃないが夜まで待ってられない。
気になって仕事に戻れないとなんとか話をしてもらうと、サンクート様から私が王太子となり国王になる事を聞いたと言う。
『なぜユーコに教えたのですか!』と心の中で思ったものの、その後のユーコの言葉に衝撃を受ける。
「ルッカ様が好きです。子持ちの女でそういう風に見てもらえると思いませんし、今後即位されるとなれば会えること無くなってしまうでしょう。ですからまだ会えるうちに私の気持ちを伝えて起きたかったのです。」
なんという事だ。
喜ぶと同時に、それならもっと早く自分の気持ちを伝え伯爵であるうちに彼女と結構していたらもしかしたら……
そんな風につい考えてしまうがふとユーコを見ると不安そうに俯いている。
「ユーコ……」
彼女の前にしゃがみこみ強く握りしめられた手にそっと触れる。
「あっ、ごめんなさい、こんなこと言われて迷惑ですよね。」
今にも泣きそうな彼女を本当なら抱きしめたい。
「そんなことはない。とても嬉しくて嬉しくて、でも私は国王にならなければならなくてユーコを巻き込めないと思って貴女を想う気持ちを忘れようとしたんだ。」
ユーコが自分の気持ちを伝えてくれたからには、私もちゃんと伝える必要がある。
「えっ?」
私のセリフに顔をあげてくれる。やっと私を見てくれた。
「私もユーコが好きだ。」
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