第55話
無事に王都のお屋敷に到着し、旅装から室内着に着替えお茶と軽食を頂いていると、
「ユーコ!!!」
私が来ることは連絡していなかったので王都に到着した時に私が来たことを伝えて貰ったのだけれども、王宮にいるはずのルッカ様が何時もの紳士的な姿はどこに?と言いたくなるほど無作法に私がくつろいでいたサロンに飛び込んできたのにはちょっとびっくりしてしまう。
「ルッカ様!?お仕事中では無いのですか?」
「そうなんだが、なぜ王都に?あ、いや、会えたことは嬉しいのだが……」
サンクート様から聞いてはいたけれども、お立場が変わられて私がここに来る事は彼の中では自分の都合で私を巻き込めないと言う思いが彼の中では強いのかもしれないわね。
「とりあえず、落ち着いてください。ゆっくりお話したいこともありますし夜にでもお時間を作って頂けますか?」
きっと仕事を放り出してこちらに来たのだろうからゆっくり話す時間は今は難しいと思ったのだけれど、
「話なら今聞きます。」
「えっ?」
「今聞かないと気になって仕事に戻れません!」
いつもと違うルッカ様にちょっと腰が引けそうになるが、こんなすぐに話をすることになるとは思わなくて心の準備(馬車で散々したはず)が出来てないわ。
「そしたら人払いを……」
さすがに人に聞かれたくない話をするから信頼している人でも傍にいて欲しくないわ。
「それで?なぜ王都に?」
ルッカ様のお茶を用意してもらい人払いが済むと再び聞かれる。
「サンクート様から伺いました。ルッカ様が即位されるという事を。」
「なっ!」
これはルッカ様は私には当面言うつもりでは無かったのだろうけれども、知ったからにはそこからお話しないといけない。
「今私たちはルッカ様にお世話になっていますが、即位されるとなるとこのままでは居られません。」
やっぱり告白って勇気がいるわね。人生で初告白だったりするって言うのもあるのだけれども。
「それは、そうだとしても伯爵邸にいつまでもいて頂いていい、なんなら爵位を貴女に譲ります。」
やっぱりルッカ様は私の事は恋愛感情なんてないのね。
庇護対象としてしか見てもらえてないと分かっても後悔はしないようにとサンクート様にも言われたし、キチンと気持ちを伝えないと後悔するだろう。
そう自分に言い聞かせて話を続ける。
「爵位はいりません。そばにルッカ様が居ないのなら伯爵邸にいる理由も無くなりますし。」
「なっ、どういう……」
「ルッカ様が好きです。子持ちの女でそういう風に見てもらえると思いませんし、今後即位されるとなれば会えること無くなってしまうでしょう。ですからまだ会えるうちに私の気持ちを伝えて起きたかったのです。」
どうしよう、どんな反応があるのか分からなくて顔が見れないわ。
-----------------------------
ついに気持ちを伝えました!
次話はルッカ視点でこの告白を受け止めていきます( * ॑꒳ ॑*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます