第54話

「ママ?顔色悪いけど大丈夫??」

あまり寝れないまま出発の時間を迎えてしまった。

見送るために咲百合が早起きしてくれたのに自分の事でいっぱいいっぱいなんて母親失格だわ。


「大丈夫よ、ちょっと考えごとをしてて寝不足気味なだけだから馬車の中で少し寝るわ。」

「ならいいけど、気をつけて行ってらっしゃい。」

心優しい娘に育ってくれた事に嬉しく思い思わずうるっとしそうだけれどもせっかく背中を押してくれた娘のためにも自分が後悔しない答えを見つけたいとだけは思えたので馬車の中でゆっくり考えましょう。

「咲百合、行ってきます。」

娘に見送られつつ馬車に乗るが、空間拡張された馬車は普通に豪華な寝台列車のような内装だったので思わず絶句していると。


「ユーコ様?出発しますからおすわり下さい。」

付き添いとして来てくれた侍女さんは普段から私の専属としてルッカ様が付けてくれているクレアで今回の王都行きにも急にも関わらず着いてきてくれる事になったので申し訳無いと思いつつ心強く思える。


「そうね。」

出発してからクレアが教えてくれた事なのだけれどもこの馬車は私の物として用意して合ったもので私が気にしないように試作品として作ったのものを発案者の私に寄贈された事になっているそうだけれどもルッカ様の事だわ、きっと違うはずよね。

そんな私の事を思い気を使わないようにと心を砕いてくれているルッカ様には感謝しかないのと同時にやっぱり見て見ぬふりしていたが私はルッカ様の事が好きなのだと再確認させられる気がする。


そしてルッカ様が私の事を少なくとも気にかけてくれている事を自覚させられる。

王になる彼を子持ちの異世界人の私が王妃になることは難しいし、私が王妃になろうなんて図々しいわね。

でもサンクート様が一言言うだけでそれはかなってしまうのがこの世界。

それを私の性格上受け入れられないことをサンクート様は分かってくださるからこそあのような忠告をしてくれているのだろうと思うが、頭ではそう考えても彼のことを好きだと自覚してしまった今は諦めることが出来ない自分もいるのよね。


そうやって出発してからウジウジと考えているうちに寝てしまっていたようで昼食の時間と言うことでクレアに起こされる。

この馬車は空間拡張した際に振動なども何故か感じないようになったようで快適な旅が出来る様になったのは提案して作って貰えて良かったわ。

(由布子は呑気に考えていますが、知らない間にタスマニアとルッカが商業ギルドの口座を作ってくれていてとんでもない金額が入金されているのは本人は知らなかったりする。2人は以前お金を貯めて小さな家を買うが夢と由布子から聞いていてお金があると分かったらルッカの伯爵邸から出ていってしまいトラブルに巻き込まれる事を心配して黙っている。)



そのな調子でまだちょっとウジウジと悩んでいる由布子だったが、快適な馬車の旅はあっという間に終わり王都目前まで到着する。



「ユーコ様、明日の昼頃には王都のお屋敷に到着する予定です。それではお休みなさいませ。」

王都目前の宿場町で宿で身の回りの世話をクレアにしてもらいぼんやりこうやって使用人や侍女に色々してもらうことにいつの間にか慣れている自分にちょっとびっくりしつつそれでも日本にいた時のあの辛い日常から比べると本当に贅沢な日常を過ごせることを今日もサンクート様に感謝の祈りを捧げ就寝するのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「由布子はまだ踏ん切りつかないのか。」

由布子からの祈りを見守りつつサンクートは複雑な表情を浮かべる。

「どうにか2人には幸せになってもらいたいのだが……」


由布子は嫌がるかもしれないが王都の神殿の司教にこっそりと信託を降ろし、少しでも由布子の助けになるように頼むのだった。



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相変わらず亀更新(´;ω;`)

そろそろイイ感じな流れなのにすみません( ̄▽ ̄;)

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