第10話

朝食はさすがに、宿泊者のみの対応だしガーリックトーストとスクランブルエッグ(塩味)ポークピカタ(ハーブ味)を出したらよろこんでもらえたけれども、本当はケチャップが欲しい!なんならマヨネーズも欲しい!

調理器具を作ってもらうところからっていうのも沢山あるのでマーサの従兄弟の道具屋さんに行ってみようと思う。ついでに従兄弟さんの名前聞き忘れてるからちゃんと聞かないと…


咲百合にはしまっておいた、フレンチトーストとスクランブルエッグを食べさせて今日も張り切って買い出しね!


まずはマーサのお店から行こうかしら色々考えながら厨房で片付けをしていると、

「ユーコさん、今夜もまた大人数になってしまっても大丈夫かな?」

食堂から顔を覗かせていたのはタスマニアさん。


「えぇ、何人くらいかにもよりますけれど、仕込みは昼過ぎから始めるのでその頃までに人数が分かれば助かります。」

昨日は急だったしお酒のおつまみをそんなに想定してなかったからフライドポテト位しか用意できなかったわ。


「ありがとう、時間と人数が分かったら伝えるのでよろしくお願いします。」

「はい、お待ちしてますね。あっ、お酒は飲まれますか?おつまみの方が良かったりします?」

「うーん、そうですね出来ればツマミもあると助かります。」

「分かりました、そしたらツマミを多めに用意しておきますね。」

「じゃまた分かったら伝えに来ますね。」

そう言ってタスマニアさんはお仕事へ向かっていった。

そうなると、またアンナさん達も冒険者仲間と来るかもしれないし今日は早めに仕込みをして沢山用意しないといけないわね。


ひとまずマーサの八百屋に顔を出して日本で見慣れた野菜を注文して、昨日の肉屋とパン屋さんに追加注文をしてから道具屋さんに向かう。


「いらっしゃい!お、昨日のねーちゃんか。」

お店の扉を開けると元気な声が聞こえてきた。

「昨日はありがとうございます。今日は早速作っていただきたいものがありまして」

昨夜帳簿をつけた時に泡立て器とピーラーの絵をかいてその横に形状の説明書きも添えた設計図?を用意しておいたのでそれを見せながら説明した。

「へぇ、どっちも面白そうな道具だな、よし!何日か時間をくれ試しに作ってみるよ。」

快く受け入れてもらえて良かったわ。

「ありがとうございます。あの、昨日は名乗り忘れましたがユーコと言います。」

「おっ、確かにオレも言ってなかったわ。オレはレガシィよろしくなユーコ!」

ニコっと笑ってくれたレガシィさんだけれども名前を聞いて確か日本にも似た名前?の車があったようなと思ってしまったわ。

無事に買い出しも済んだので宿に戻ってからおつまみのメニューを検索してみることにした。


「えっと、塩キャベツもいいわね、コレを軽く茹でてオリーブオイルに似たものもあったし塩と刻みニンニクで合えてみましょう。」

ナッツのようなモノも見つけていたのではちみつ炒めにして出したらきっとアンナさんが喜ぶかしら、なんて思いながらフライドポテトも追加で仕込みをしていく。

鶏ガラだしと豚骨ダシを作りつつトウモロコシを茹でてバターコーンも作ったりと、今日の仕込みも大忙し、お昼ご飯もサンドウィッチと作りかけの鶏ガラだしで野菜スープにしちゃったけれどまだ煮込みが足りなかったわ。


鶏ガラだしのだし巻き玉子を試しに作ってキリスさん達に味見をしてもらったけれどもコレも好評だったので大量に焼いてアイテムBOXに閉まっておく。


とりあえずある程度作り終えたので今日は原価を計算して1人前を決めないと、昨日はドタバタで何となくだったし今後の事を考えるとそれではダメだから。


卵焼きはちょっと高価なので1皿で銅貨10枚分になるようにサイズ調整してあるし、フライドポテトも昨日と同じ分量で銅貨10枚、バターコーンとフライドポテトのハーフ&ハーフにするのもいいかもしれないので銅貨10枚分の量を決めておく。

それとステーキも銅貨10枚分のサイズと銅貨15枚分の分厚いサイズに切り分けておいたし。

塩キャベツとナッツのはちみつ炒めは銅貨5枚程度を用意して、箸休めとして出せばいいかしら。


どれも設定金額よりも原価は半分程に収めるようにしてあるのでコレで損はしない、宿泊しないお客さんからは余分に銅貨20枚分頂くし、頑張ればお風呂付きの家を数年で買えるかしら。



咲百合の為に賄い用にこっそり端の肉を手でミンチにしてチーズハンバーグを作り、準備ができたと外を見るともう日が暮れ始めていて夕食の時間直前、キリスさんが言っていた通りに手伝いを雇うった方がいいかもしれないわね。


「ユーコ!今日も仲間も一緒に良いかな?」

お茶を飲んでつかの間の休憩をしているとアンナさんが声をかけてきた。

「えぇ大丈夫よ、人数は?」

「それが、昨日より増えちゃって10人ほど…」

ある程度は予想していたけれども大分増えちゃったのね。

「もう、昨日と同じで宿泊者以外は銅貨50枚でもいいなら全員いいわ。」

タスマニアさんの方も昼過ぎに従業員さん?が来て15人なんて言ってきたから宿泊用の部屋を一部屋ベットを避けて追加のテーブルを入れたりとキリスさんが用意してくれたので食堂の方ならまだ人が入れるのが幸いだったわね。

その代わりにタスマニアさんには給仕をする方を誰か用意して欲しいと頼んでおいたのは正解だったわ。



「それは大丈夫!ちゃんと先に聞いてあるからみんなそれでも食べに来たいって!」

「なら時間になったら食堂に来てね。」

「ありがとう!」

アンナさんは元気よく外に向かっていった。

ちなみに咲百合はさっきミチェさんが預かりに来てくれたので食事を渡して部屋に行ってもらっているので安心して働けるのは本当に助かるわ。



「ユーコさん、今いいかい?」

すぐ食べれるシリーズの料理をアイテムBOXから厨房に出しているとタスマニアさんが声をかけてきた。


「タスマニアさん、おかえりなさい。」

「さっき伝言に来たから知っていると思うがウチの従業員のロンだ、今日は料理を運ぶのを手伝うために来ているが、他のお客さんへの給仕も任せて大丈夫だから。」

「ロンです。よろしくお願いします。」

「いえいえ、人手は助かりますが他の方への給仕は申し訳ないので大丈夫ですよ、時間が出来たらロン君には良かったらご馳走するわね。」

「ユーコさん、いいのかい?ロン、ご馳走になるならよりお手伝いしなければいけないな。頼んだぞ。」

「はい!頑張ります。」

ロン君はまだこの世界での成人である15歳位の少年でまだ幼さの残っている印象の子だがとっても爽やかでお姉さん甘やかしたくなるわ。

キリスさんにタスマニアさん達の案内を任せ、ロン君も部屋の場所を確認したら料理を取りに来て貰えるように頼んで私も急いで準備を続けたのだった。


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