第8話

咲百合が寝ているすきにこっそり厨房に戻り買っておいたリンゴに似ているゴゴンの実をくし切りにして瓶詰めする。水はちゃんと煮沸してから冷ましてあるから多分大丈夫だと思うけれども…


あまり長い間1人にするのは心配なのでそこまで終わらせて急いで部屋に戻った。


気持ちよさそうな寝顔を見てホッとする。

昨日までは、正直どうしようも無くなって居たとはいえ咲百合を手放す事をしなくて本当に良かった。手放さなかったからこそこうやって穏やかな気持ちで寝顔を見ることが出来ているのだからやはり、多少の不自由はあるかもしれないけれど異世界に来ることを決意して良かったと思う。


「さてと、以前動画サイトで作り方は見たけれども天然酵母パンはなかなか難しいし、この世界の小麦粉は全粒粉がメインみたいなのよね」

白い小麦粉とあるにはあったけれども強力粉、中力粉、薄力粉みたいに別れてないから素人には見分け方が分からないし、その辺は何度か試して行くしかないと諦めるしか無いわね。

塩とミルクは有るからまずバターから作ってホットケーキなら出来そうね。

あとは、生クリームとカスタードクリームもチャレンジしたいけれどもお砂糖は高いみたいなのが問題ね。


考え事をしながらアイテムBOXっで天然酵母を発酵させては空気を攪拌させてを繰り返しながら、今ある材料で出来ることを考えてゆく。


本当なら香辛料も欲しいし、やっぱりそのうちカレーを食べたいと思うから。


いろいろ考えているうちに酵母の完成。コレを元種という形で発酵させないと行けないが、粉を使うのでさすがに、厨房に行かないと出来ないから時間停止のアイテムBOXに移しておく。

ちなみにお酢を調べたら手作りりんご酢のレシピも見つけてコチラも作り方が途中まで同じだったので試しにもう1瓶用意をしている。天然酵母ならここで元種作りに移るけれどもお酢はこのまましばらく発酵させ続けて手順通り作ってみたけどあとは、ろ過するだけになったのでコチラも時間停止のアイテムBOXに移し替えたが、フルーティーな香りもしつつ酸っぱい香りもしっかりしていたので後で水で割って飲んでみようかしら。


「まま、おはょ」

色々やっているうちに咲百合が起きてきたので厨房に移動しておやつにホットケーキにチャレンジしてみようかしら。


早速卵白をメレンゲにしていくが電動のホイッパーが無いので重労働、ヤスリを買った時についでにクシ状の木べらがあったのでそれも購入しておいたのでそれで必死に混ぜて小麦粉をダマにならないように少しずつ入れていく、砂糖も見つけたけれどもあんまりに高いのでほんの少しだけ買ってきたのを入れる。上手く混ざったら焼くんだけど、その前にバターを作るのを忘れていたのでアイテムBOXにしまっておき、ミルクとさっき作ったりんご酢を取り出す。

バターミルク?のレシピをみつけせっかくお酢が出来たのでコレまたひたすら混ぜるのに苦労したけれどもフワフワになったのでアイテムBOXにいれてしまう。


「まま、あまーいにおいいいね」

火加減を調整しながらフライパンで焼くと甘い香りに包まれる。

旦那に騙されてお金に困っていて日々の食事にも困っていたので本当に久しぶりのおやつだから私も咲百合も早く食べたいと気が焦るが生焼けでは美味しくないのできつね色になるのをじっと待つ。


「はふぅ」

初めて作ったけれども粉っぽさもなくほんのり酸味のあるバターミルクもハチミツを垂らしてあるので咲百合でも気にならずに食べれている。


「うわぁ!いい香りがする、ユーコ!何食べてるの???」

咲百合と2人のんびりおやつタイムにやってきたおじゃま虫?甘いものが好きなアンナさんが帰ってきたようだ。


「アンナさんおかえりなさい、コレはホットケーキっていうおやつですよ。」

ていうか、アンナさんヨダレ!垂らさないで…


「ユーコ!私も食べたい!!」

えっと… 作るの大変なのが分かっていたので少し多めに生地はつくって時間停止のアイテムBOXに取っておいてはあるから焼くだけで作れるけれどもどうしようかしら…


「お砂糖も使ってるからちょっと高くても良いなら作りますよ?」

目を輝かせてヨダレが垂れそうなアンナさんに何となく出来ないとは言えなくなってしまう。

「んな!砂糖かぁ、ユーコの料理はどれも美味しかったから奮発して食べたい!銀貨1枚で足りる分作って!」

栄養ドリンクくらいの瓶に入った砂糖が金貨1枚して、使ってるのと卵もそこそこ値段するのよね、材料費で銀貨10枚ちょっとくらい、あと10枚位焼けそうだから1枚で銀貨1枚ならまぁいいかしら。

ちなみに金貨1枚で銀貨100枚と同額だったわ。


「今私が食べてるくらいの大きさが1枚分が銀貨1枚で作れるけれどもアンナさんだけで良いの?」

一応影は薄いがパーティの2人も一緒に居る。

「そしたら俺らは2人で銀貨1枚分お願いします。」2人とも気になっていたらしく仲良く半分こするみたい。

「分かったわ、少し待っててね。」


厨房に戻って焼いていると、

「ユーコ!タスマニアさんの分も追加出来る?」

アンナさんが厨房の入口から顔を覗かせて聞いてきた。どうやらタスマニアさんも帰ってきて匂いにつらたみたいね。


「わかったわ、タスマニアさんに金額だけ伝えておいてくれる?」

「それはもうしたよ!それでも食べたいって。」

そうして追加のホットケーキを焼いて食堂の席に戻る。


ちなみに2人で半分こすると言っていたので焼いてから半分に切って2皿にしてあげた。

アンナさんとタスマニアさんには銀貨1枚分出したが、みんなペロッとあっという間に食べ終わっていた。


ちなみに半分この2人は

「失敗したぁ!アンナと一緒で1枚頼めばよかった。」

と嘆いていたけれども残りも少ないしそろそろお夕飯の仕込みもしたいから今日はもう作らないからね!


4人はお夕飯も楽しみにしていると食堂を出ていったので早速夕飯の仕込みを始める。

材料は部屋にいる間に届いたらしく、キリスさんが受け取って厨房に置いておいてくれてああいるのでホットケーキを作る前にアイテムBOXで時間停止させておいた。


まずは昨日も作ったけれどもフライドポテト用に切った芋を水に晒してアイテムBOXへ1時間水で晒した状態にサクッと時間を進めてから取り出し小麦粉をまぶして時間停止のアイテムBOXにまたしまう。

晒しておいた水はちょっと実験したいことがあるのでそのまま別にしてコレもしまっておいた。


ちょうどお肉が届き、今日はブイヨンを作ろうと思い牛骨以外は時間停止して仕舞う。

よく洗った骨とスジの多い肉と人参もどき、玉ねぎもどきと一緒に煮込む。

そして、アクを取りながら他の仕込みにおわれ、あっという間に夕食の時間になったのだった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る