第10話

「マジで嫌だぁ。」


「そんなこと言ったって体育祭は無くならないよ。もっと前向きに!」


いよいよ最悪な体育祭が始まった。俺はというと四百メートルリレーに選抜され謎にアンカーをやらされる。しかもその後すぐに全員リレーとか。本当に殺しにかかっている。


「アレ?赤坂さんじゃないの?応援してあげたら?」


「まあそうするけど・・・・。」


あの一件から三週間、赤坂は一度も俺に関わってこなかった。それよりか一歩引いてるようにも感じる。本当にどうしたのだろうか。


「じゃあ僕は次ハードル走あるから行ってくるね。」


「おう、頑張れよ。」


真奈はそういうと集合場所へ行った。俺も次の次か。そろそろ準備しないと、体が壊れてしまう。


「春くん頑張ってね!応援してるよ!」


こら充希、汗だくの姿で抱きつかないで誤解しちゃうでしょ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それでは四百メートルリレーを始めます。」


最初ならまだしもアンカーが一番プレッシャーがかかる。本当に腹痛演技でもしてやめたい。一人二人三人とあっという間に俺の番が来た。順位は十二クラス中十一位だ。


「鷲宮頼むぞ!!!!」


あまりクラスメイトと会話はしないがこういう時には否が応でも結束感が生まれる。流石に適当にはできないな。そうして俺はしっかりと相手のバトンを受け取った。


走ることが得意でよかった。


「一組の方、一気に追い上げています!」


久々に全力で走ったな。なかなか百メートルでもきつい。


「十クラス分を追い抜きました!一位がどちらかわからない接戦です!!」


あと少しで一位だーーーー!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ただいまの四百メートルリレー、一位は三組です!二位は一組、三位は八組です。お疲れ様でした。」


結局最後に追い抜けず二位だった。思ってたよりも楽しかったので悔しい。


「いや〜マジで惜しかったな!つーか鷲宮、お前めっちゃ足速いじゃん。」


「い、いやー、たまたまだと思うよ。」


「たまたまならそんなに速く走れるわけないじゃん。マジで凄かったぞ!」


・・・・陽キャって実は普通にいいやつ?陽キャに褒められていると、ふと赤坂と目があった。するといきなり慌てたようにしてその場を離れていった。


「そういえば、少し用事があったっけ。」


今は陽キャにかまっている場合じゃない。だからそう話を強引に切り上げ、俺は赤坂を追いかけた。







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