第4話
あれから二週間経った。特に新しい友達を作ったわけではなく、休み時間には主に真奈と会話をしている。ちなみに赤坂は友達と喋る訳ではなく、常に読書をして過ごしている。
「うちの体育祭って結構早いよね。競技は決めたの?」
「俺はスポーツ全般苦手だからなあ。まあでも四百メートルリレーくらいは出てみるよ。楽しそうだし。」
「リレーって結構大変だよね。僕はテニスをやろうと思ってるよ。応援できたら行くね。」
「俺も空いていたら行ってみるよ。」
普通の会話って普通に楽しいなあ、としみじみそう思う。やっと波に乗ってきた学校のカリキュラムになんとか慣れて、今は課題に追われている。勉強も大切だが、やはり友達と一緒に過ごすことも大事なことだと思う。
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帰りは特にすることもなく、帰路についた。
「うわっ、雨強いなあ。」
最寄りの駅に着いた時、大雨が降っていた。だが幸い、折り畳み傘を一本持っていた。
「帰るか~……、ってあれ?」
そこにはクラス一美女の赤坂がいた。しばらく何をしているのか見てみると、急に目が合った。俺の傘を一瞥したあと大きく困ったようにため息をついた。なるほど、そういうことか。無視することもできたが、さすがの俺にも良心というものがある。
「あの……傘いる? 俺家近いから大丈夫なんだけど。」
「えっと…………。」
まあそりゃいてもいなくても分からないような陰キャにいきなり話しかけられたらこうなるよなぁ。でも引き下がれないしちょっと強引にでよう。
「本当に大丈夫だから、ほら使って。」
強引に差し出した。
「えっ………………。」
「じゃあね、いつか返してくれればいいから。」
家まで走れば数分だろう。そう考えながら俺は猛ダッシュで家に帰った。
そして次の日、割とガチの風邪をひいてしまった。
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