3.1.11 要塞戦 抱擁
――王国歴 300年 夏 ザルトビア要塞前 ザエラ小隊長室
「
軍事戦略室から執務室へと戻り、来客用の
「ザエラはお酒には弱いわね、もう顔が赤くなっているわよ」
サーシャはザエラの顔を見つめて微笑む。
「ありがとう、だいぶ落ち着いた。……あの老人が旅団長のレイデン少将とはね」
士官の体調の回復を待つ間、レイデン少将からこの度の騒動の説明を受けた。上申書の記載内容が、入団して半年程度の新兵が書いたものとは信じ難く、
なお、聖魔法‟
「聖魔法で確認できるのに……趣味の悪い演出だ。黒髭の男の態度を思い出すと胸糞が悪い」
「彼はレイデン少将の副官でしょう。任務だから仕方ないわ。ヒュードル中隊長も事前に話を合わすように指示されていたそうだし。私はもう気にしていないわよ」
「僕は納得していないよ。最近評判の美しい魔人の裸が見たくて、鞭打ちを思いついたことを恥ずかしげもなく話すのだから。あの変態エロ爺め」
「かわいいものよ。でも、帰り道にヒュードル大尉が私達に頭を下げて謝罪していたわね。覇気のない雰囲気が以前から気になっていたけど、意外と誠実な人なのかしら」
「黒髭の男に‟王国の聖盾”とも呼ばれていたし、昔は将来を有望視されていたのかもしれないね。彼を変えた理由が気になるな」
「とにかく、上申は承認されたわ。あとは私達が想定通り要塞を制圧できれば昇級間違いなしよっ」
「ああ、要塞を制圧するついでに変態エロ爺と黒髭も混乱に紛れて殺しておくか」
「いつも冷静な貴方らしくないわ。随分と酔っているわね。さあ、もう寝ましょう」
サーシャはザエラを小隊長室に併設された彼の宿舎のベットへと連れていき、服を脱がす。彼は裸のまま大人しくベットに仰向けになる。
照明が消えてしばらくするとサーシャが裸でベットに滑り込み、ザエラを抱きしめる。ひんやりとした彼女の素肌が、温葡萄酒で火照った体を心地よく冷ます。二人はお互いの胸に耳を当て、心臓の鼓動を聞きながらしばらく抱き合う。
「今日はあなたの濃厚な魔力を浴びて興奮したわ。魔眼が暴走しそうで怖かったわ」
サーシャの両眼は赤く輝き、その瞳の奥に魔眼の魔方陣が浮かびあがる。
「あなたに魔眼が効かないのは、安心でもあり残念でもあるわ。ねえ、私の魔石に魔力を注いでちょうだい」
ザエラはサーシャの背中に手を当て魔力を流すと、彼女は体をさらに密着させ、足を絡ませてくる。彼女のアンダーヘアーがザエラの脚を優しく撫でる。しばらくするとザエラが寝息を立て始めた。
サーシャは彼の寝顔をみつめながら、
「今日は守ってくれてありがとう。嬉しかったわ」
と小声で言いながら頬に
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