第2話


はっと起き、思わず下を向いた。


「ある訳ないよ、そりゃ。」


男には無く、女には有るものは無かった。

あれはきっと夢だったんだ、そうだ。

にしても・・・。


「随分とリアルな夢だったなぁ、急に俺が女みたいな声してこれじゃまるで小説の話みたいだ。」


ついこの間、あの小説を見て俺も気に入ったのか夢に登場したってか。

笑えない冗談だ、リアルにやられたら動揺するし今後の生活に困るわ。


「にしても今何時だ・・・?」


あれから相当かかっているはずだ、そう思って時間確認しスマホの画面を付けると。


「身を覚えない電話番号の不在着信が多数・・・、怖っ。」


不在着信が20件、しかも律儀に1分後。

そんなに連絡するって事は知り合い・・・?


「考えても仕方ない、とりあえず昼飯にするか。」


不在着信は無視し、時刻はお昼をすぎていたのでこれから昼食をとることにした。




「さて、この着信は誰なのか、一応迷惑電話・・・でもなさそうだし。」


お昼を食べ、その皿を洗い終えた俺はまたスマホを見ていた。

この何度もかかってきたこの電話をかけてみるつもりだ。

俺は覚悟を決め、電話を掛けてみた。

プルルルと2回鳴り、3回目あたりでガチャと聞こえ。


「はい、もしもし中本でございます。」

「え、中本さん?」


かかってきた張本人は幼なじみの中本サオリだった。


「中本さんは失礼ですわね。昔みたいにオリちゃんでもいいですのよ?」

「いや、その、そう言われても・・・。」


こいつは昔、こいつの親父さんが事業を成功しお金持ちになったらしく小学生の時こいつからお嬢様学校に通いたいと言い、すぐに引越ししたはず。

何故、急に俺に電話を?そもそもどうやって聞き出したんだ?


「まぁ、いいでしょうか。話は変わりますが、あなたの友人は快くあなたの電話番号を教えてくれたわ?あなたと違ってね?レーイ?」

「あの野郎、美人に弱いのにやられたか!」


さらば友人C、お前の亡骸は知らんけど埋葬するよ。


「ね、レイ?その・・・美人はよして?あなたに言われると恥ずかしいわ。」

「はっ、この際言葉使い無しだ。サオリ、お前忘れたか?小学校時代、お前告白されまくってたぞ。」

「そうね、確かにそうだったわ。でもねそれを全部断ってたのレイは知らないはずよ?」

「なっ、なんだってー!?」


そんなバカな、いや確かにサオリは誰かと付き合ってるのを見たことはない、むしろ俺と近くにいた・・・?


「いくらあなたが鈍感でも気づくとは思わなかったわ、当時わね。」

「くそ、今気づいた・・・。」

「それでレイ?どうして電話出なかったのかしら?」

「あぁん?あぁ、2度寝しちゃってさ」


流石に朝に正夢みたいな出来事になった事は言えないし・・・。


「そう?珍しい事もあるのね。」

「で、お嬢様?貧乏人の俺に何用で?」

「そうそう、久しぶりにレイに会いたくなってね。色々と準備していたの。」

「へぇ〜、準備ねぇ?」


何の準備だか知らないけど、大事そうなことはわかった。


「さ、レイ。私の所に来なさい?」

「パードゥン?」

「え、どうして英語なのよ。もう一度言うわ。」



「私の所・・・。いえ、学校に来なさい?」

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