第24話

翌日。


既に全種族での行軍が始まっていた。

昨日のことは兵士たちには伝えず、作戦もそのまま続行するようだ。


「いよいよですね……」


と呟くユリムくん。私たちは城壁の上から行軍の様子を眺めていた。


「いよいよって言っても、大体行軍だけで四ヶ月かかるんだけどね。不安かもしれないけど、ユリムくんならきっと大丈夫だわ! 魔王に支配されたこの世界を救って、みんなを解放しましょ!」

「そうですね! サテラさんのためにも僕頑張ります!」


それにしても、昨日の事が気にかかって仕方ない。ヴァルトの話によれば、アンチ転移魔法の開発は既に終わっており、もう一週間も前から試験運転がなされていたらしい。

効果は十分確認済み。転移魔法にのみ作用するため、その効果は魔王といえど抗えぬ程だと、専門家のお墨付きをもらっている。

いや、どれくらい信憑性があるのかはわかんないけど……。

とにかく昨日、その効果が何者かによって切られていたのだと。


そして、マクスの不審な行動。

昨日魔王が来た際に初めから最後まで作戦を全部伝えていたのが、ヴァルトから言わせてみれば不審に思えたらしい。

あの賢明なマクスだから、確かにとっさのことでも嘘を交えたり出来たかもしれないけど……流石にそれはこじつけがすぎる気がする。


『……い。お……い……』

「サテラさん、【飛音石ヒインジャク】が鳴ってますよ?」


言われて気づいたが、胸元に拳くらいの石が淡い光を発しながら振動していた。

【飛音石】転移魔法陣の応用で作られた声のみを届けるいわば携帯電話のようなものだ。魔力を込めてチャンネルを合わせれば互いに連絡が取れるようになっている。神の通信の下位互換だ。


「誰かしら? はい? 女神サテラよ」

『……私。ユリムはどう?』

「あんた……五分しか使えないんだから無駄使いしてんじゃないわよ! 元気にしてるわよ! 切るから!!」


そう、これは極限までコンパクトさを追求した結果、合計五分しか使えなくなったのだ。


と、まぁ。こんな感じで、新兵器を取り入れた連合軍は、魔王討伐へと向かい出したのである。

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神界リクリエイト〜神とか魔神とか巨大な組織の陰謀とか、私にはわかりませんがとりあえずこの少年勇者、【討伐ランクSSS】〜(仮) @サブまる @sabumaru

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