問12 墓場から天国へ

本当に美しく、良問で、難問です。あまりの美しさに解いたあとため息がでました。


出題


墓場には3つの扉がある。

扉の見た目はいずれも同じ。

ひとつは「一瞬で天国に行ける」扉 簡単のためこれを扉1とする

ひとつは「1日の間ずっと墓場から出られない」扉 簡単のためこれを扉2とする

ひとつは「2日の間ずっと墓場から出られない」扉 簡単のためこれを扉3とする


どの扉が1.2.3.なのかは墓場の人間には分からないこととする


この中から1つを選び、選んだ瞬間に効果が現れる。

そして扉は開かれたあとランダムに効果の場所が変わる。


さてこの墓場から天国へとたどり着くのに平均何日かかるか 求めよ


 実は数学の教諭が吉田教諭から小泉教諭に変わったのだ。

 事の発展は、遊くんが吉田教諭を論破し、心をへし折ったのだ。それは吉田教諭が游くんへの嫌がらせに、超有名問題、π>3.05 を出題し、遊くんはそれを完璧に証明しきった上に吉田教諭に「数学の先生なんだからπ>3.10くらい証明できますよね?」と啖呵きって、たくさんの生徒の前で「解けません」と言わせたのだ。そして吉田教諭は学園を去り、小泉教諭に変わったのだ。

というのは特別なことではないのだが、特別なことは遊くんの存在が下級生にまで知れ渡ってしまったことだ。遊くんは「私のことをどう思っているのだろう?」


以下 刹那の考え







ふふん。じっちゃんの名にかけて。私には答えが見えてるわ!


どの扉を選ぶかは1/3

んで当たりって言っていいのかな?

一瞬で天国行きを選ぶのは1/3

 1日留まる扉を選ぶのは2回扉を選ぶ……


 あっこれ違う。必ずしも2回めで当たりを引くとは限らない。何回目で当たりを引くのかは確定してない。だから平均なのか……。じっちゃんごめん。


 以下 遊くんのヒント










期待値を使う。

「覚えてる?」いや全くもって覚えてない

期待値とは

ある確率で何かが得られて、ある確率で別の何かが得られるその平均値です。せめてまた追試にならないように覚えてね。

刹那はウンウン唸りながら考えていた姿はまさに「受験生」だなぁ。なんて遊くんは思っていたことは秘密。口にしない。

ごめんなさい。取っ掛かりすら思いつかないよ。

以下 遊くんからのヒント2

 







 天国行きを選ぶ平均日数をAとする

 A=(扉1の確率 ×扉1の日数) + (扉2の確率 × 扉2の日数) + (扉3の確率 × 扉3の日数)←これが期待値

 だけど引掛けがあるからね

 

 以下 ヒントをもらった刹那の考え

扉2の日数は1日

扉3の日数2日


解った!


以下 珍しく刹那の解答







A=(扉1の確率 ×扉1の日数) + (扉2の確率 × 扉2の日数) + (扉3の確率 × 扉3の日数)

以上の式で、扉1の日数は0①

だけど扉2の日数は1日じゃない。平均の日数に1日足さなければならない。よってA+1と表せる。なぜなら今、式の中で求めているのは「平均」だからだ。

同様に扉3はA+2と表せる。


よってA=1/3 * 0 + 1/3 * (A+1) 1/3 * (A+2)で計算すればA=3


Answer 平均3日


 美しい数学だ

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