とりかえられたらな。
わたし瑠璃姫が物心がついたのは五つの時。お参りをするといって神社に連れて行かれた時の印象があまりにも強烈に残っていて、それ以前の記憶は曖昧にしか残って居ない。
何故か隣にいるわんぱくそうな男の子がわたしとそっくりなことが不思議で、
向こうも同じようにこいつ誰? って言ってたからおあいこかな。
そしたら御父様、ああ、お前達は二人ともわたしの子、瑠璃、お前達は兄妹なのだよ、と、そう言うではないか。
確かに。鏡で見る自分とほんとそっくりだとは思いつつ、わたしよりもちょっと大柄なその子がちょっとだけ怖かった。
後ろで待ってる
ああ、彼女があの子の御母様なのね、と、瞬時に判断して、わたしはとりあえずにこりと扇をアテ会釈した。
今にも儚くなりそうだと言われ続け早五年、わたしは他の同年代の子供と比べ少し成長が遅いものの、なんとか生きながらえてきたらしい。
先日も気がついたら熱に浮かされもう死んじゃいたいと思って目が覚めた。
起きた時には少し楽になっては居たけれど、この虚弱な身体がほんと恨めしい。
ああ、あの子と身体が取り替えられたらな。
ほんと、羨ましいったらない。
まあ、こんな身体でも行きているだけマシなのか、そうも思うけれど。
この時代はものすごく不便な時代だとは思うしこの身体はほんといろんな意味でダメなんだとは思うけど、
でも、死んじゃってもまた生まれ変われるとは限らない。
いや、輪廻転生で今度は虫とかに生まれるとかだったら嫌だ。
そう、確か、自殺だと良い転生は望めないとかなんとか昔何かで読んだ覚えもあるし、自分で命を絶つとか諦めるとかは論外だ。
今のこの与えられた生で、性で、なんとか生きて行かなくっちゃ。
そう決意を固めたのが五歳の春だった。
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