第8話

 日差しが徐々に強くなり肌を焼きはじめる。じりじりとした日差しが少し含まれ、風はまだほのかに冷たい。過ごしやすい春の季節が終わる。

 私の気持ちとは裏腹に、外の気候は気持ちいい。こんなゆっくり過ごしたくなるときに、私はこの世の終わりでも見てきたかのような気分だった。


 家に帰ってベッドに寝転がる。誠に会えなかったことよりも、誠にその程度の扱いをされていたことに落ち込んでいた。連絡一つ事前にくれていたら。せめてその日の内に連絡してくれていたら。

 誠の誠実なところが好きだった私は絶望していた。私と繋がっている理由はなんだろう?好きだと言ってくれた。でも一番じゃない?ファンと繋がっているという噂もイメージも無かったから信じられなかった。


 「誠、私のこと好きなの?」

 「好きだよ」

 「いつか会えるの?」

 「会えるよ」

 「本当?」

 「どうだろう」


 どうだろう?これはどっちの意味だろうか。窓から入ってくる西日がベッドに寝転んでいる私の足を温める。


 「今日はもうご飯食べてお寝るね」

 「うん」

 

 誠の返信はいつも早い。すぐに送ってくれる。それだけで私は安心していた。大切に思ってくれていると思っていた。でも誠の行動はそれとは真逆だ。

 お風呂で誠とのやりとりを思い返す。そういえばいつも曖昧だ。胡麻化されてばかりいる気がする。


 「誠。大事な話がしたい」

 「うん」

 「私は誠にとって必要なの?」

 「うん」

 「いつか会えるの?」

 「会えるよ」

 「本当?」

 「どうかな」


 まただ。いつも最後は曖昧にする。でも返信は必ずしてくれる。これはどっちだと捉えるべきなのか?世間では返信を遅くして駆け引きをすると言うが、誠は全く逆をして駆け引きしている。

 私が好きな気持ちを知っていて、返信をしてくれるのに昨日は来てくれなかったし返信も一晩無かった。

 私は、意を決して聞いてみた。


 「誠。もし会えないのから終わらせよう」

 「それは嫌だな」

 「どうして?会えるの?」

 「どうだろう」


 誠のじれったい返信にもやもやが残る。しかし、返信はある。私は、しばらく誠と連絡を取って気持ちを確かめることにした。

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