⑦(ステータス)
右も左もわからぬ世界で、スグルは藁にもすがる思いで音声ガイドの指示に従った。まるでゲームの世界であるかのように目の前に浮き出したそれはいかにも不自然であったが、もはや彼は考えるのを止めていた。
スグルは若干たどたどしく、浮き出したホログラムを読み出した。
【皆葉スグル】
〈クラス〉
転生者Lv.1 (Lvアップまで残り9)
〈所持スキル〉
Aランクスキル
・ランダムアイテム生成(熟練度0)
・ランダムスキル発動(熟練度0)
・ランダムテレポート(熟練度0)
ステータス画面はこれで終わっていた。
「ん?」
ここで彼は少し違和感を覚えた。いくら物事に無関心な彼でも、超有名RPGゲームである「ゼロダの探索」「銅鑼クエスチョン」くらいはやったことがある。そんな彼から見たら、このステータス画面は明らかに大切なものが抜けていた。彼はどこへともなく声を上げた。
「おい、HPやMPの表記は?」
『質問を確認。この世界では、それらはステータスに記載されておりません』
「あっ、そうか。まあ異世界だしな。仕方ない……のか?」
釈然としないものはあったが、彼は無理矢理自分を納得させて、もう一度ステータス画面を見た。
「なあ。じゃあこのスキルとやらはどうやって発動するんだ?」
『質問を確認。ステータス画面を開き、スキル名の詠唱を行えば発動可能です。なお、使用には極度に体力を消耗します』
「体力……なるほど。例えば、この『ランダムスキル発動』はどれくらい?」
『質問の追加を確認。現状であれば貴方が疲れて立てなくなる一歩手前くらいです』
スグルと音声は、広い草原で会話をしている。故に、迫りくるそれに気づかなかった。
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