第10話 『Eランクしか』
『お父さんお母さん。先立つ不孝をお許し下さい』
俺はここまで書いて筆を置いた。手が震えて上手くかけなかった。悔しさに涙が溢れた。
「クソッ!クソッ!クソッ!!」
何度も何度も机に拳を叩きつけた。手から血が流れていた。俺はそれでも叩き続けた。手なんて千切れてしまえばいいのに――――!
羊皮紙がボロボロになったのに気づいたのは、手の感覚が無くなって暫くしてからだった。それは、涙と血にまみれていた。
「……ステータス」
自分のステータス画面を開く。15になって見れるようになったそれは、俺に残酷な現実を突きつけていた。
自分のステータス画面が見れない―――ギフト授与の帰り道で散々流したはずの涙がどんどん流れ出る。こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃなかった…! 頭に浮かんでは消えるかつての夢や希望。全てが手のひらから滑り落ちていくのを感じた。
【ユリーナ=メロリング】
〈クラス〉
村人Lv1(レベルアップまで残り経験値47)
〈スキル〉
Eランク
・ストレージ収納Lv1(熟練16)
俺のステータス画面は、ここで終わっていた。何回見ても、更新されることはなかった。
「なんでだよ!」
俺は号ぶ。
「何でEランクスキルしか与えられないんだよ!」
俺はひたすらに叫んだ。悔しさに地団駄を踏んだ。俺は、何度思い返したか分からない、天国から地獄へつき落とされた瞬間を、朝の事を思い出していた。
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