第4話 もう一度逢えたら

 好きだったよ、頑張るお前が好きだった。


 誰になんと言われてもブレなくて、夢を追いかけているお前が。



 今、俺はどこにいると思う?


 街中にあるはずなのに、まるでそこは別世界。喧騒を書き消すかのように、潮風にのってカモメの鳴き声が聞こえる。



 そう、ここはお前の秘密基地。基地と言える建物はないが、松が生い茂るこの場所で、海を眺めながらお前が泣いてるのをよく見てた。


 え? 泣いてないって? 


 まぁたしかに泣いてなかったよ、でもお前の心は泣いてた。


 あの時、気付けなくて悪かった。そんなに頑張らなくていいんだよって言ってやれなくて悪かった。


 でも、隠すのが上手すぎるお前も悪いんだぞ?



 なんてな。


 今度逢うときは、もっと立派な男になって伝えてやる。お前のこと、ずっと好きだったって。


 それまでは空から見ててくれ。そうしたら、カッコ悪い姿なんて見せられないからさ、頼んだぜ。



 松の木の間から光が差し込んで、お前の定位置に光が集まる。


 お前は今、笑っているだろうか。それとも、泣いているだろうか。


 目の奥がジーンとしてお前の笑顔が浮かぶ。


 目の前に広がる海水よりも濃度の低い水が俺の頬をつたった。

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