第4話 もう一度逢えたら
好きだったよ、頑張るお前が好きだった。
誰になんと言われてもブレなくて、夢を追いかけているお前が。
今、俺はどこにいると思う?
街中にあるはずなのに、まるでそこは別世界。喧騒を書き消すかのように、潮風にのってカモメの鳴き声が聞こえる。
そう、ここはお前の秘密基地。基地と言える建物はないが、松が生い茂るこの場所で、海を眺めながらお前が泣いてるのをよく見てた。
え? 泣いてないって?
まぁたしかに泣いてなかったよ、でもお前の心は泣いてた。
あの時、気付けなくて悪かった。そんなに頑張らなくていいんだよって言ってやれなくて悪かった。
でも、隠すのが上手すぎるお前も悪いんだぞ?
なんてな。
今度逢うときは、もっと立派な男になって伝えてやる。お前のこと、ずっと好きだったって。
それまでは空から見ててくれ。そうしたら、カッコ悪い姿なんて見せられないからさ、頼んだぜ。
松の木の間から光が差し込んで、お前の定位置に光が集まる。
お前は今、笑っているだろうか。それとも、泣いているだろうか。
目の奥がジーンとしてお前の笑顔が浮かぶ。
目の前に広がる海水よりも濃度の低い水が俺の頬をつたった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます