第3話 どんなに願っても

 情事のあとの静けさ。地平線が少し明らんでお天道様が顔を出す。


 ばあちゃんが言っていた。


「お天道様はいつもお前を見てるんやで」


 あぁ、そんなことは分かってる。分かっていてもこの人だけは手放せない。


 烏の鳴き声が聞こえる。俺の悪事を嘲笑するかのようだ。


 ベッドの軋む音が聞こえ、愛しい温もりが肌にふれる。自分より柔らかい髪をなで、口づける。こんな日々が続けばと切に願って。


 あと何回、この人にふれられるだろうか。今日が最後だろうか。


 お天道様に照らされて、細身の左薬指にはめられたシルバーリングが輝く。


 この人を好きになってごめんなさい。


 一線を越えてしまった俺には謝ることしかできない。


 この人と俺はセフレ、そんなこと分かってる。

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