第2話 私の日課

 履き慣らしたブラウンの革靴。ピシッと着こなしたネイビーのスーツ。合わせているのはワインレッドのシンプルなネクタイ。ワックスで軽く整えられた少し癖のある髪。


「また見てるの?」


「うん」

 

 アズーロ・エ・マローネが似合うあなたを見つけるたびに、見えなくなるまで目で追いかけてしまう。


 それが私の日課といっても過言ではない。


 毎日見ているからこそ分かる、あなたの変化。見つけるたびに嬉しくてしょうがない。


 黒板の上で軽快な音をたてるチョークを持つ無骨な手を見るたびに、その手でもう一度触れてほしいと思ってしまう。


 あなたが私に何気なく触れたあの瞬間、あなたを男性として意識した。


 先生、卒業したら告白していいですか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る