エピローグ

 二年後。

 私の前に彼とひーちゃんが来てくれた。

 毎年必ずここに来てくれる。

 二人の様子はあの世でずっと見ていたから、ひーちゃんのことも知っている。

 感じのいい女性だ。

 彼は色とりどりの花を私に持ってきてくれた。

 どれも私が好きな花ばかりだ。

 それを見て嬉しくなる。

 ひーちゃんが「詩音くんは、だいぶ元気になったんだよー」と笑顔で話しかけてきた。

 私も笑顔になる。

 彼はあれから精神科で、PTSDと診断されその治療を今受けている。

 申し訳ない気持ちにはなる。

 でもあれは私にはどうすることができなかった。

 ひーちゃんは、自分の好きなことをどんどんしていっている。今では駅で少し有名な路上シンガーとなっている。

 気になる二人の関係はというと、何も変わらず今でもたまに連絡を取り合っているぐらいだ。

 少しだけつまらないなと私は思う。

 彼を取られるのは嫌だけど、じれったい二人を見てるのもなんかもやもやした。

 彼らに感化されて、私の気持ちも変わってきたのだろうか。

 「少しずつだけど、前に進めてるよ」と彼が話しかけてきた。

 そうして私のもとを二人は、手をつないで離れていった。

 その言葉を聞いて私も幸せな気分になったのだった。

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忘れないでと君は笑う 桃口 優/再起を目指す作家 @momoguti

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