四節 「再び東京、検査」

 再び東京に戻ってきた。

 旅を始めた当初はこんなにもいろいろなところに旅をするとは思ってもいなかった。

 でも僕は罪の償い方をまだわかっていない。

 僕の旅は終わってはいない。いつ終えることができるのだろうか


 東京に着いたら、すぐに大きな病院に行ってひーちゃんには検査を受けてもらった。

 待合室で僕はどうか奇跡が起きることを祈っていた。

 ひーちゃんは、ずっと求めていた永遠だって見つけることができた。

 隣に座る彼女の手を握る。

 ひーちゃんは少し震えていた。

 「大丈夫だよ」と僕は口にした。

 ひーちゃんは「うん」とだけ答えた。

 その一方で、もしもうだめだった場合は、最後までひーちゃんのそばにいようと覚悟は決めていた。 

 それほどまでに僕はひーちゃんのことを大切に思っていた。

 それに、ひーちゃんも言っていたように、人は一人では生きていけないのだから。

 しばらくして医者が再び入ってきた。

 緊迫した雰囲気は高まっていく。

 「調べてみましたが、どこも異常はありませんでした。本当に病気と診断されてか疑うほどの健康体です」

 奇跡は本当に起きたのだ。

 僕は初めて神様に感謝した。彼女が死んでからずっと神様を恨んでいた。

 どうして神様はこんなひどい仕打ちをするのだろうと思っていた。

 これでひーちゃんは死なない。

 僕は大切な人を二度も悲しませずにすんだ。

 ひーちゃんの方を見ると口を開けて驚いていた。

「じゃあ、私は死なないんですね? もう死の恐怖に怯えなくていいんですね?」

「はい、大丈夫ですよ。他の病気も見つからなかったし、普通に生活できますよ」

「ありがとうございます。本当にありがとうございます」

 そう言う彼女の肩をぐっと引き寄せて支えた。

 その時僕も『永遠』を感じた気がしたのだった。

 

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