第18話
レイメイはコーヒーを入れるために部屋を出た。
部屋に残った雪音はふわぁ〜と欠伸をし眠そうにしていた。
湊はレイメイの話した内容を整理し何とか理解しようとしていた。
何とか理解した後いくつかの疑問が浮かんでいた。
そのうちの一つを部屋に居る雪音に尋ねた。
「雪音さんは何を願って契約したんですか?」
「私?私はねー幸せな時間は永遠にっていう願いをしたな」
「その願いは叶いました?」
「ある意味で時間は永遠になったよ。でも幸せな時間は失われちゃったけどね」
「それってどういう…」
「そのまんまの意味だよ」
湊は言葉を失う。
願いは叶ったとしても幸せにはなれないどころかその願ったものまで失っている。
それじゃあ願いを叶えてないのと同じじゃないのか…。
「もひとつ良いですか?雪音さんの目的の仇って願いと関係あるんですか?」
一瞬間ができてから雪音は答える。
「んー、そうだね。願いとは関係ないよ。ただ私の大事にしたかった人を奴は殺した。それだけだよ」
雪音は悲しい笑みを浮かべたまま答えた。
その笑みを見た時湊はそれ以上何も言えなくなってしまった。
しばらく2人とも黙り静かで重い時間が流れた。
「お待たせしました」
その声とともにレイメイがコーヒーを持って部屋に入ってきた。
2人の前にコーヒーを置き、レイメイも椅子に座った。
「さぁ、話の続きをしますか」
「続きを話す前に、レイメイあなたは何を願って契約をしたか教えて欲しい」
湊はレイメイに尋ねた。レイメイが話の続きをするよりも先に、今手に持ってる疑問を少しでも減らしたかった。
これ以上は手から零れてしまう。そう判断し尋ねた。
「私の願いですか。雪音さんは話されました?」
レイメイが雪音に視線を送る。
「軽くは話したよ」
「そうですか、では私も話しますか」
そういいコーヒーを1口飲んだ。
「私が願った物は愛する女性の無事ですね」
再びコーヒーを1口飲みレイメイは続ける。
「雪音さんから聞いたのなら知ってると思いますが、円卓との契約で叶えてもらう願いは一時は叶いますが、それは直ぐに終わり、その後は全てを失います。それが契約です」
言い終えレイメイはコーヒーを飲み一息ついた。
「その女性はレイメイと約束した人?」
「ええ、そうです。私はその女性と再び会う約束をしました。その約束を果たすためにはこの円卓を終わらせる必要があるのです」
2人の目的が分かったが、円卓に命を狙われる理由が分からなかった。
「そういえば私達はなんで命を狙われるの」
湊の質問から少し間が相手からレイメイは答えた。
「湊さんあなたは円卓の強欲の生まれ変わりです」
「え?」
言葉が脳を通さず反射的に口からでる。どゆこと?円卓は肉体を保てなくなり生きてる人間と契約して、依代にしてるんじゃないの?その円卓の生まれ変わり?なんとか整理していた頭がまた散らかる。
「え?どうゆうこと?」
「簡単に説明しますね。かつて強欲と契約した女性は色々な願いを強欲に願い。そして、円卓の一員となりましたが。その後女性は強欲に支配されました」
「その後は強欲は他の円卓の力を手にしようと、円卓と敵対し傲慢、怠惰、暴食、嫉妬、憤怒、楽の6名を殺害しました。楽との戦闘後強欲は力尽きましたが、6名の力を使い依代無しにこの世に生まれ変われるようになりました」
「その生まれ変わりが…私…」
レイメイは静かに頷き、
「そう言うことです」
と、一言だけ返した。
「それじゃあ私達が襲われる理由って…」
「お察しの通り二度と同じ事が起きないように予め芽を摘んでいるわけです」
「待って私が生まれ変わりだから命を狙われるのは仕方ないとしてどうして紅葉まで狙われるの?」
湊は机を叩きその場に立ち上がる。
机を叩いた両手から血が滲み出す。血は滲んでいたが痛みは感じなかった。そんなことよりも紅葉まで狙われる。自分のせいで紅葉を危険な目に合わせてしまった自分への怒りが強かった。
「紅葉さんはその当時円卓を半壊させた女性の妹の生まれ変わりです」
「それが?」
怒る湊にレイメイは落ち着くよう声をかけ、着席を促した。湊は椅子に静かに座った。
「強欲の生まれ変わりと同じ時に女性の妹も生まれ変わり、強欲にとって1番大事な人になります。そしてその1番大事な人を人質にし強欲を逃げられないようにしているのです」
「私は逃げない!だから紅葉だけでも!」
「紅葉さんを守りたいのなら方法は1つです」
そう言ったレイメイの方に視線をやる。
「円卓を全員倒しその力を使い何かを願います。どんな願いでも良いです。円卓の力がひとつになった時円卓は終わりますから。あなた達の呪縛も解けます」
「それが紅葉を救うための方法」
「そうです」
そう良いレイメイはコーヒーを飲み干した。
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