第5話

授業の終わりを告げるチャイムが学校中に響き渡り、教師はさっさと片付けをし職員室に戻った。

生徒達も帰る準備をしたり、部活の準備をする者で溢れていた。


「紅葉、湊一緒に帰ろー」


春華が帰る準備をする紅葉と湊に声をかけた。湊は帰る準備の手を止め、


「ごめん春華紅葉が図書委員の仕事があるから…」


「なぬ!?まじ!?えー当番再来週じゃなかった?」


「春華ごめんね。急遽当番変わることになったの」


顔の前で手を合わせ紅葉は謝った。


「図書委員の仕事が終われば一緒に帰れるけどどうする?」


春華は腕を組みんーと考え、5秒後に答えを出した。


「また今度一緒に帰ろ」


「また今度帰ろー。そういえば今日なんかあるの?いつもなら残るって言いそうなのに…」


「ん?明日推しの誕生日だから帰って直ぐに準備したいの」


手を胸の前で握りうっとりとした表情で春華は答えた。


「てことだから、私は帰るねまた来週!」


そのまま手を振り春華は帰った。


その後しばらくすると図書委員長が紅葉を訪ね教室にやってきた。


「紅葉さんこれ、鍵ほんと急でごめんね」


「気にしないでください」


頭を下げ委員長は去っていき、紅葉も、


「それじゃ委員の仕事いってくるね」


「行ってらっしゃい」


「先に帰る時は帰るって教えてね」


「待ってるよ」


「ありがとう」


と言い、教室を去っていった。教室内には人は殆ど残っておらず静まり返っていた。

湊はカバンから本を取り出すと栞を挟んでいたページから読み始めた。

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