第3話
教室の入口のドアが開き1人の男が入って来た。
男は黒いスーツに身を包み、髪の毛は後ろに1本に結び肩下に流していた。整った顔立ちをしており、メガネの奥には優しげな瞳があった。
男は教壇に立つと生徒の顔を見渡しニコリと笑うと挨拶を始めた。
「みなさんはじめまして、今日からこの学校でお世話になります。」
男は黒板の方を向き何かを描き始め、描き終えると再び前を向いた。黒板には「レイメイ・メリド」と書かれており、教室内ではちらほらと「え?外国の人?」「外国の人にしては日本語上手すぎない?」等と聞こえていた。男はこの反応に慣れているのか人差し指を口の前に構え静かにするように伝え、ざわつきが収まると男は挨拶を再開した。
「はい、仕切り治しましょう。私の名前はレイメイ・メリドと申します。えー先程ちらほらと聞こえましたが私は生まれはこの国では無いですが育ちは日本です。そのため外国語は話せません。」
生徒達はあー、なるほどと言うような表情を浮かべ話を聞いた。
「では、1年残り短いですがよろしくお願いします」
挨拶が終わるとメリドは一礼し教壇からおりた。代わりに担任の教師が教壇に上がった。
「えー、1限目はメリド先生との交流に使おうと思う。質問したい人は手を上げろー。んで、失礼な質問はしないように」
言葉を言う終わるや否や生徒達の何人かは直ぐに手を挙げた、担任の教師は手を挙げた生徒の名を呼ぼうとしたが呼ぶのを辞め「生徒の名前を覚えてもらうため、メリド先生に当ててもらおうかな」と言い教壇からおりた。
教壇に立ったメリドは手を挙げる生徒を教卓の座席表を見ながら当てて行った。
何人かの生徒が当てられ質問をしメリドが答えていた。
みんな特に当たり障りのない質問をしていたが、ある人物がみんなの聞きたくても聞けなかった事を質問した。
「えー桜木春華さんどうぞ」
メリドが名を当てると春華は「はい!」と元気よく返事をしその場に立った。春華が当てられた時生徒達は「あぁあの質問をするんだな」と察した。
「えーメリド先生は今彼女さんとかはおられるんですか?」
生徒達は内心聞いてもいいものなのかと思いながらも答えに期待をした。担任の教師はやれやれと言うような仕草をし、メリドは優しく微笑み答えた。
「彼女はいませんが愛している人ならいます」
その答えに教室内はざわついた。
「片思いですか?」
春華はアクセルを踏み更に質問をした。周りの生徒達は「え?そこまで聞くの?」と困惑した。
メリドも「え?そこまで聞く?」というような驚いた顔を見せたが直ぐに笑顔を取り戻し答えた。
「両思いでしたが、カノジョに先立たれてしまいました。」
更に教室内はざわざわし始めた。まさかの軽い気持ちで「彼女いますかー?」と聞いたら「いましたけど先立たれてました」という想像していない答えが帰ってきた。
予期せぬ答えで驚きながらも春華は聞くべきではななかったとその場で反省し
「すいません。悲しい事を思い出させる様なことを聞いてしまいました」
と頭を下げた。その姿をみて生徒達は尚驚いた。
あの春華が不躾な質問をした後に謝っていることに驚いた。
友達が付き合い始めたと知れば「え!?いつから!?どこまで進んだ!?」と詰め寄り、別れたと知れば「え!?熱々だったのに!?何が切っ掛け!?」と詰め寄り質問責めをし、最後は「次はきっといい人が見つかるよ」と謎の励ましをし、「ごめん聞きすぎた」等と謝ることの無い春華が謝ったのだ。
生徒達の顔は驚きのあまり目が点になっていた。
頭を下げる春華に対しメリドは優しく超えをかけた。
「あー気にしないでください。少し驚きましたが、この質問をされるのは慣れてますし、彼女が先だったのもかなり前のことですから」
春華はそう言われるもシュンと縮こまり席に座った。春華の質問に寄り教室内はまるで通夜のような雰囲気になってしまったが、次の生徒が趣味の事を聞き、メリドは趣味の事をかなり熱く語った。それに対し同じ趣味を持つものにより質問等があり気が付けば教室ないにはざわつきが帰ってきたいた。
その後も質問は続きあっという間に1限目が終わった。
1限目が終わったあとそこらじゅうメリド先生の話題で持ち切りだったが。中には特に興味を持たないものも居た。
「紅葉新しい先生いい人そうだね」
「んーそだね」
紅葉はボーッとしながら答えた。まるで昼寝日和の5時限目の様だった。
「ん?紅葉どしたの?」
「ん?いやー今日の学食の日替わりランチ何かなーって」
紅葉の頭をぽんぽんと叩きながら
「よく寝て、よくご飯も食べて何故そんなに小さいのか…これが分からない」
「寝るのと食べるのは身長に関係ないでしょうがー」
と紅葉はうがーっと威嚇した。それに対しはいはいと返し2時限目の用意を始めた。
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