設定資料集ⅩⅢ 人物紹介・専門用語解説集

【人物紹介】

 ・金髪の男性

 仙台市では無く、宮城県北部の大崎市古川のある邸宅にいた人物のこと。四〇代前半くらいと思われる。太すぎず痩せすぎずの体つきで柔和そうな面持ちをしているが、貴族らしい威厳も持ち合わせているような様子。

 その正体は、言及されていないもののセルトラが言っていた『フィンセンフルト・ドゥシェ・ルータイル・シュレイダー』である。

 自軍と日本軍の戦力比較や兵器類の差異など正しく認識しており、その上で数的優位がまだ覆っていないこと。手札が尽きていないから対抗はできると考えている点から継戦は十分可能と判断する。基本的な作戦方針は自分より詳しい軍人に委任している点。など指揮官としては有能の部類にあたる。



 ・茶髪の青年

 フィンセンフルト・ドゥシェ・ルータイル・シュレイダーの右腕と思われる帝国の軍人。青年くらいの年齢にそぐわない階級で、日本軍で例えるなら大佐である。元々は神聖帝国軍北海道方面侵攻軍の参謀部所属だったようだが、何らかの方法で東北に来ており、今は東北地方の作戦全般に関わっているようだ。

 参謀としての能力は極めて高い。日本軍に対して神聖帝国軍の本拠を仙台と思わせ、実際は古川に置くなど、司令部機能を巧妙に隠蔽しているのがその一つといえる。若くして大佐であるのは伊達では無いのだろう。

 反面、孝弘達や璃佳には立案した作戦が彼等が原因で失敗するなど、作戦面で相当に振り回されている。孝弘達や璃佳達の能力が彼の予想を大幅に上回っていたのが原因。本人はこの失点を取り戻したいようだが、果たして上手くいくかどうか。


 謎が多い人物でもあることから、要注意人物といえる。



 ・八条兼光

 九条術士が一家、八条家の当主。

 八条家は幕末期から明治初期にかけての時期に魔法科学に先見の妙を見いだしていた。それゆえに魔法より魔法科学にその私財を投入した事で、二〇世紀初頭には現在の『八条魔法科学ホールディングス(八条MHI)』の前身『八条魔法科学技研株式会社』を設立。以降、九条術士の中でも一際経済面に秀でた家となる。

 現当主の八条兼光は魔法科学オタク(国立大学魔法学部→同大学大学院で博士号取得するほど)であり、多少採算が合わずとも将来的に採算ラインに乗ればいいという考えで先進的魔法科学技術の開発を進めている為、彼が当主になってからますます八条MHIは規模を大きくした。

 経済の七条との結びつきは先代当主の頃から強めており、兼光が当主になってからはさらに強化された。


 ・九条高保

 九条術士が一家、九条家の当主。現在、齢七七と高齢だが本人は「まだ一〇年は現役を続投できる」と豪語するほどには元気なよう。ただし世代交代の必要性は感じているのか、今後五年で当主の座を譲り隠居しようと思っているらしい。

 京都に本拠を置き、伝統を重んじる典型的な九条術士の家である。ただし九条高保が当主になってからは「伝統とて時代に取り残されれば消えるもの」という本人の考えのもと、他家の中でも先進性のある七条や八条との結び付きを強めている。

 魔法軍総長の中澤の妻は九条家の次女である。これもあり、魔法軍人家系の中澤家と九条家の結び付きは強い。両家の関係も良好な様子で、大戦前は年に四回ほど中澤が九条家を訪れているのがそれを証明している。


 ・豊川博勝

 現・日本国国防大臣。年齢は統合参謀本部参謀総長の香川より三つ下。大臣の中では比較的若い方だが、国会議員六期目と議員の中ではベテランにさしかかる部類である。外見だけで判断すると、と柔和で穏やかな人物に見えるが、国家中枢の魔境で荒波に揉まれてきただけあって芯が強い人でもある。ちょっとやそっとでは折れない、剛ではなく柔を持って乗り切ってきた人。

 マルトク事件において孝弘達『前線帰還組』を裏から支えた人物の一人。事態を憂慮した総理の説得もした。


 ・大桑元貴

 現・内閣総理大臣。大戦直後死亡した前総理大臣の後を継いだ人物で、就任当初はかなり苦労した模様。いつもはどっしりと構えているが、流石にマルトク事件については焦った模様。ただし物事の分別はついており、マルトク事件に関して最終的には孝弘達前線帰還組の身分と名誉を保証した人物の一人となる。


【専門用語解説集】

 ・大崎市

 宮城県北部の中心都市。人口は作中世界で約13.2万人。今でこそ名前は大崎市となっているが、中心地は旧古川市にある。新幹線の駅もあり、経済の面でも宮城県北部の中心都市的存在。

 作中世界では神聖帝国軍の勢力圏内。

 神聖帝国軍東北方面の司令部は仙台市に置かれていると日本軍は推定しているが、実際は偽装されており、中枢機能はここ大崎市古川地区に置かれている。


 ・英国魔法協会魔法科学研究局(ロンドン・マジックサイエンス・アカデミー)

 英国において魔法科学といえばここと言われるほど有名な研究局のこと。英国といえば西洋魔法の本拠地として超がつくほど有名だが、魔法科学が発展したのは米国・独国の後とやや後発組である。

 とはいえ、魔法の本拠地だけあっていざ研究を始めれば発展も早く、今では魔法科学において米国・日本と並んで三大魔法科学国家と呼ばれるほどになった。魔法が凄けりゃ魔法科学もすごいと言われる英国において非常に重要な場所でもある。


 ・トリアージカラー

 トリアージの色のこと。トリアージは一般的には救命救急の現場で用いられる手法で、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先の決定で使われる。作中世界では『賢者の瞳』の機能に簡易的ではあるがトリアージ判断機能がある。

 トリアージカラーは四色ある。以下、簡潔な説明。


 黒→死亡または直ちに治療を行っても救命不可能。

 赤→生命に関わる最も重篤な状態。一刻も早く処置すべき対象。治療最優先色。

 黄→バイタルサインは安定しているが、早期に処置が必要。今すぐ生命に関わる重篤な状態ではないが、赤に変化する可能性もある。

 緑→歩行可能。今すぐの処置の必要はない。治療不要な人もこれに含む。


 長浜はこれの黄色に該当した。後に、魔法による治癒促進を用いても全治二週間と正式な診断がなされた。


 ・セレネのおまもり

 山岸が持っていた。エルフィーナが渡していたらしく、正体はただの高純度魔石。魔力暴走で大爆発を引き起こした元凶。トリガーが何だったのか、今を持っても不明。


 ・身代わり人形

 神聖帝国においても貴重な物品。所有者に生命の危機が迫った時に自動発動する。手動発動も可能らしい。これによってエルフィーナは逃げることが出来たが、後に大輝や茜によって捕縛された。


 ・魔法省

 日本において魔法関連の行政を司る省庁のこと。軍人系能力者の管轄は国防省だが、民間能力者の管轄はこちら。ただし能力者ランク制度は魔法省の統一規格なので、軍人もランク認定は魔法省が行っている。民間系のランク認定関連は後述の日本能力者協会で管理している。

 魔法科学は扱いが少しややこしく、こちらは魔法省内の魔法科学庁の管轄。


 ・日本能力者協会

 日本において魔法の文化振興から民間の能力者ランク認定まで関わる組織のこと。いわゆる独立行政法人。魔法省との結び付きが非常に強く、天下り先でよく出されている。民間の能力者ランク認定はここが行っている事もあり、かなり重要な組織ともいえる。


 ・エンシェントドラゴンの尾を踏んだ

 神聖帝国版『虎の尾を踏んだ』。エンシェントドラゴンとは、古龍のことで、非常に簡潔に言うと『伝説級のドラゴン』『超高位能力者でようやく討伐出来るバケモノ』のこと。

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