第4話

正直に言おう、私は今機嫌が悪い

それは何故って?

スタイルめっさいい美人に

突然ドヤ顔で湯切りのお湯を飛ばされたからだ

なぜだが悔しくて仕方がなかった


「くぅぅぅぅぅぅぅぅ…!」


と、唸る他にこのイラッとした気持ちを

発散させる場がなかった

あの人…許さんほんと許さんまじ許さん


と、されたことを恨み

美しさを持っていることを妬み

ラーメンを作ろうとしていた時


「さっきは悪かったな、熱かったろ?」


と、女性の声が後ろから突然聞こえてきた

その声は女性にしてはやたらと

カッコイイ声だった


「あ、いや、

少ししかかかってないので大丈夫ですよ。」


人間突然声をかけられたら

少し前まであった感情なんて

外には出せない ということを弥雲は学んだ


そして声の方へ向いて始めて声の主を見た

肩につかないほどで切りそろえられた髪

スラッと細く長い足

黒のTシャツに紺のパーカー

程よいダメージの入ったジーンズ

遠目から見れば男性に見えるだろう

だが、近づけばこの人が女性であることが

明確にわかる、大きいものをお持ちであられた

それ以上は何も言えません。


「そんなわけにもいかないだろう

私の不注意で危ない目にあわせかけたんだ

それに、かなりかかっていたな

服にもわかりやすく跡が残っているじゃないか」


そこで初めて弥雲は自分の服を見た

点々とお湯がはねたあとが残っていた

結構綺麗にわかりやすく


「な?なんかいい感じに模様っぽくなっててな

オシャレだったから声かけようか迷ってたんだよ」


「あははは〜、確かにこれオシャレっすねぇ〜」

いや黙れよ、何がオシャレっすねぇ〜だ


「火傷はしてないか?悪かったな…せっかくの

服を、あー、そのなんだお詫びとは言っちゃァ

何だが新しい服を買ってやる、

それで許してくれねぇか?」


「い、いやいやいや大丈夫ですって!

そんな大惨事になった訳でもないですし

それにこの程度ならすぐ乾きますって!」


「あー、そうか…いやしかし…なぁ……」


「ほんとに大丈夫ですって、お気持ちだけ

頂いておきますので」


「気持ち…か、まぁそれでいいなら

行くでも持ってってくれ、

ホントにすまん!」


「お、お構いなく〜、そちらこそ

お心遣いありがとうございます。」


と、そう言って弥雲は逃げるように

その場から立ち去り席に戻ろうとした

その時何かを忘れているような気がした


「あ、おい…!」


ふと何かが聞こえたような気がしたが

後ろをむくのはどこか気まずい感じを

嫌がり振り向くことはなくそのまま歩きだす


何かを…うーーん?

ま、いっか!


そんなことを心の中トークしながら

席へ戻ると咲雪が知らない女性と

一緒に頭を抱えて唸っていた



いやいや、えっ?

なにしてんのこの人たち


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