第2話
話は変わってとある2人組へ。
「ねー、これ美味しすぎてもうやばいんだけど!」
「それは美味しいよ、見てわかるもん」
「だよね!だよね!ヤダー私天才かも!」
「あー、そうだねー天才だあー」
「ムッ、なんか嬉しくなーいほめられてなぁいー」
「はいはいー、ここお店だからねー
じたばたしなーい、いい子は
お座りしましょうねー」
「はーい!私、いい子!しっかり座る!」
「うわぁ…予想以上にキモイ……」
「ちょっと…酷い…」
「ちょっとなら問題ないね、YES!」
と、賑やかに会話をする女子2人
とあるバイキングで昼食を楽しんでいた
「ていうか…咲雪、なんでそんな最近の
イケイケ系女子みたいな話し方してる?」
「えっ?!い、いやそんな……あう……」
涼夜 咲雪(すずや さゆき)は
そう言って顔を抑えていた
「ふふっ……ふふふふふ…ふははははっ、
ハハハハハハハッ!はふふふふふふっ!
ちょ、咲雪…耳の先まで真っ赤……」
ツボに入ったらしく永谷 弥雲(ながや やくも)は
笑いを堪えきれず机に突っ伏して
プルプルと動いていた
「なっ、もー!そんな笑うことないでしょう…」
「いや、もう……普段とキャラがハッハッハッ!
違いすぎてもう…ヒィィ……」
そう言って弥雲は笑い続けていた
言葉が途中から言えてないような気さえした
いや実際そうだったし
「あー、もう!なんで私は弥雲となんか
バイキングに来たんだろう……むぅ……」
「そんなん決まってるでしょうに、
他に友達がいないからに決まってんじゃーん」
「うっ、心に来ることを平然と言うね
でもそういう弥雲もそんなに友達いないじゃん」
「んー?私?私はいいんだよー
なんてったって私には咲雪がいるからさっ。」
「…………………うぅぅぅ…ウレシイ…」
「えー?なんてぇ?最後聞こえなーい」
「あー、もううっさいバーカ!バーカバーカ!」
「そっかぁ…咲雪も嬉しいのかぁ〜
わたしゃ幸せもんだなぁ〜」
「きっ、聞こえてたんじゃん!」
「おっ、いいねぇその可愛いお顔
食べちゃいたいや」
そう言って弥雲はスマートに笑って見せた
あれ、 ?弥雲って男の子だったっけ?
あー、あれ?いやいや女の子だな
一緒に銭湯も行ったことあるしプールもあるな…
「何アホみたいな顔して
考え事なんかしてんのよ〜」
「弥雲ってさ、女の子だよね?
実は男の子だったりしないよね?」
「はぁ…一緒に銭湯行ったじゃん〜
そんとき見せたじゃんか私の立派な果実を2つ!」
「あ?もぐぞコラ」
と、ドスの効いた声で言い切った
「うわっ…怖っ……はんたーい!
幻果実撲滅はんたーい!」
「いいな〜弥雲はナイスバディで
私なんか…はぁ……」
ため息を大きく吐き自分の果実を眺めた後
弥雲の果実を凝視、測定、疑似体験を始めた
「その咲雪の流れるような行動
こんなに人のいる場で普通しないんだけど
普通に不審者なんだけど、通報していい?」
「ちょっと今いいとこだから邪魔しないで。」
「あ、へい。」
なんだいいとこって
こいつのイメージは一体今どうなってんだ?
ていうか目、目が怖い…ガチじゃん
獲物を狩る肉食獣のような目をした
咲雪を席に残しバイキングには必ずと
言っていいほどあるカレーを取りに行った
「やっぱバイキングと言えばカレーだよねぇ
あっ、嘘!?ラーメンもある!?
自分で作るラーメンシリーズ!しかも味が……
過去に行ったバイキングの中にはなかった
豚骨?!味噌!!た、坦々麺だとォォ?!」
独りでに興奮し始めた弥雲
バイキングにたまにある
即席ラーメンとそれを茹でるお湯
そして何重にも重ねられたどんぶり
基本は醤油なのだが
どうやらこの店はレア中もレア
味が醤油の他に3種類もあった
なんか美味しいよねそういうとこで
自分で作るラーメンってさ気の所為?
おっといけねぇ……つい興奮しちまってぇ…
ふふ、ふふふふふふふふふふふ…ぐふふ……
さぁてどの味から責めやろうかしらァ?
やっぱりここは無難に醤油から?
いや、普段味わえない味を行くべきか?!
私のお腹はもう既に6割満腹だ。
その状況で全ての味を攻略するには
空きが足りない…!クッ!未熟…!
あまりにも未熟!修行が足りない……
今の私には3種類全ては…諦める他ないのかっ!
もはや………ここまで……
と、頭の中で葛藤を始めた
この間実に1秒、弥雲は馬鹿だった。
その時だった葛藤している間にいつの間にか
隣にいた女性が驚きの行為に出たのだった。
その行為とはハーフラーメン!
一人前の即席ラーメンは実は思ったより
半分に綺麗に割れるように作られており
(※ここのバイキングに限ります)
一つのラーメンで2つの味を楽しめるように
なっていたのだった
当然この女性はその事を知っており
流れる手つきでどんぶり2つにスープを注ぐ
組み合わせは豚骨、坦々麺
一見バラバラな組み合わせに見えるが
どうやら彼女にはその組み合わせが合うらしい
スープを用意したと思えばもう既に
半分に割られた乾麺はお湯の中に沈んでいた
そこで弥雲は思った
(ふっ、甘いわね 片手に残った麺
片方を茹でた後もう手にある麺を
茹でなくてはならない!)
(即ちその間にも刻一刻と麺は伸びる!
席に座る頃にはふにゃふにゃの麺……
はぁ…まだまだね、割らずに麺を茹でてから分ければいいものを……)
「とか思ってるな?お前」
その一瞬 弥雲は理解が出来なかった
1度も声に出してはいないハズなのに
完全に心を読まれていた
そしてそれを嘲笑うかのように
その女性は空いている麺茹でスペースに
手にしていた麺をぶち込んだ
その光景を目にして弥雲は絶叫した
「ッツ!!!!!!!!!!!」
絶叫してすぐ目を瞑り心の中で冷静に言葉を紡いだ
いや、熱いがな、お湯やんそれ
なんでそこに勢いよく麺叩きつけるかね
跳ねるやん熱湯ぞ?これ。
「ふぅ…」
いや「フウ」じゃないがぁ
ため息を聞き一言 スパッと心で放ち
目を開ける 既に女性の姿はなく
そこには乾燥した麺とスープ グツグツに
煮えているお湯だけが残った。
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