講和会議

 1978年7月4日、アメリカの降伏により、世界中を巻き込んだ第三次世界大戦は終わった。講和条約はフランスのパリで開かれ、そこで敗戦国の運命が決められた。


 まずは南米。ギアナは独立し、ブラジル北部、ベネズエラ南部を含んだ大ギアナ連邦として独立した。コロンビアはベネズエラ北部とペルーの一部を獲得。エクアドルは旧領を奪還し、それに加えて北部を自国領に取り込んだ。南部はチリとボリビアで分割。アルゼンチンはパタゴニアをチリに割譲し、また、グランチャコ地域を全てパラグアイに割譲した。残ったブラジルとアルゼンチンは多数の国々に分裂した。


 次に北米。アンカレッジ・ダッチハーバー・シアトル・サンフランシスコ・ロサンゼルスは西岸自由貿易都市連合として上海条約機構の国々のアメリカにおける貿易の拠点となった。アメリカ本土はアラスカ・カスカディア・カリフォルニア連合が上海条約機構側、ニュージーランド・五大湖連邦・テキサス人民共和国・アメリカ東岸国が第五インターナショナルの勢力圏として定められ、緩衝国としてロッキー連邦が成立した。カナダはイギリス王室が追放され、カナダ共和国として成立した。


 オセアニアは大まかにミクロネシアは日本、インドネシアはメラネシア、ハワイがポリネシアを領有することが決まった。


 極東は長春政府は中国に取り込まれ、また、モンゴルから南部を割譲させた。アムール沿海共和国はスタノヴォイ山脈以南を吸収。日本はカムチャツカ半島を獲得し、オホーツク海沿岸も領有することになった。残りのシベリア地域はシベリア人民連邦が掌握した。また、チェンマイ条約機構加盟国は中国からの治外法権を認めさせられることになった。


 中東はトルコがシリアを併合。イランとイエメンがドイツ中東植民地を吸収。スエズはナイル領となった。


 アフリカでは植民地が解体され、多数の国々が誕生した。また、東バントゥー連邦は解体された。南アフリカはモザンビークとアンゴラで分割された。


 最後にヨーロッパ。フランスはロレーヌ・フランドル・オランダを併合し、ライン川以内の地域を併合した。また、フランスに囲まれる形になったルクセンブルクも後にフランスに併合される。イギリスはアイルランドを併合。ドイツ本土は分割され、多数の国々が乱立することになった。また、周辺国に領土を切り取られた。イタリアは北部をフランスに割譲され、南部はフランスの傀儡国であるイタリア社会主義共和国が誕生した。

 ウクライナは主権を回復し、ポーランド領の一部と西ウラルの南部を併合した。西ウラルもシベリア人民連邦に取り込まれた。その後、シベリアはソビエト連邦の復活を宣言する。バルカンはブルガリアの勢力と領土が大幅に後退し、黒海以外の海岸線を喪失した。


 この戦争で世界人口の約5パーセント、2億人以上が亡くなり、そのほとんどが戦火に巻き込まれた民間人であった。このような内容で結ばれた講和条約は世界に平和をもたらすどころか、その後長い戦乱を招くことになる。




















 2040年 フランス・コミューン マルセイユ上空


 「本当にやるんだな?」


 「ああ。国の上層部はどうやらまた戦争がしたいみたいだ。」


 「そうか……目標まで残り100メートル。90、80、70、60、50、40、30、20、投下!」


 ヒュー


 ズドーン


 …こうして第四次世界大戦は始まった……

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