ヴォルゼフォリン

サイズ:102|(K)/58/98


概要:人型超兵器ロボット。本来の姿であるロボの姿と、仮初かりそめの姿である美女の姿とを使い分けられる。


     ***


 戦闘のどさくさに紛れて、ゲルゼリアを脱出してきた。

 意外と待遇は悪くなかったが、私の求める労働とは違ったのでな。


 もっとも、私は雑用ばかりをやらされていたので、運営に大した支障は無いだろう。

 元々私はイレギュラーな存在だしな。


 さて、別れを告げるのはこの辺りにして。

 ここもここで、いいおっぱいがあるはずだ。探すぞー!


     ~~~


 探すこと1時間。

 私はすごいものを見てしまった。


 よもやロボが美女の姿に変身するとは!

 しかもあれは、滅多に見られない理想的なおっぱいだ。


 ここで退くのはおっぱいマスターとしての名折れ。

 近くに金髪の子供が一人いるのが見えるが、構わん。あの子に気づかれないよう、品評を終えるッ!


 ということで、意外とある視力をギリギリまで使って品評する。

 遠くからであれば、そうそう気づかれないだろう。


 ふむ、しかし大きなものだ。

 カップサイズはこの前見たのと同じ……Kだな、あれは。


 タイツ状生地でカバーされているとはいえ、よくもまあ垂れないものだ。いや、今まで見てきた中では誰も垂れていなかったが。それだけクーパー靭帯が強靭なんだろうな。

 もちろん張りも格別だ。前に突き出るように張っていて、ドレスにあるタイツ状生地がパツッとしている。見事な主張だ。


 あんなものを見せられた男性諸君は、二度見三度見することは確実だろう。不思議な魔力が秘められている。

 もう少し近くで拝みたいものだが、これ以上近づいては――ん?


 何だ? あの子を置いてこっちに来たぞ?

 まさか、もう――


「さっきから何の用だ?」


 しまった。いつ気づかれた?


「あれだけ熱のこもった視線を受けたんだ、気づかないわけないだろう。それで、何の用だ?」

「見事なおっぱいでした」


 おっと、隠しておくべきだった言葉がつい口に。


「……ほぉ。私の胸を見たと?」

「はい、おっぱい」


 何だ、いやに落ち着いてるな……って、おい。


「一瞬見られる程度は気にしなかったが、ずっと見ていたとはな。これは見過ごせんぞ」


 やっぱりそうなるよね! 三十六計逃げるにかず!

 さぁ追いつけるものなら追いついてみせ――


「どこへ行く気だ?」


 嘘だろ!? ロボならともかく、人型なのにこの速さ!?

 くっ、逃げ切れ――


「ここでお灸を据えねばならんな」


 方向転換する暇もあらばこそ。

 気づけば私は、空高く吹き飛ばされていた。


 あれ、いつ蹴られたっけ……?

 痛みも何も感じないけど、とにかく空より高い場所まで飛ばされている。




 まったく、こうもうまくいかんとは……無念。

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