第962話 配分の間違いはなぜ起きる?

「角を矯めて牛を殺すって?」

  「おぼろげにわかるけど」



【角を矯めて牛を殺す】

少しの欠点を直そうとして、その手段が度を過ぎ、かえって物事全体をだめにしてしまう。



「なぜ『ためる』の?」

  「盆栽みたいなもんでしょ」



【矯める】タメル

1.曲がっているのを真っ直ぐにする。また、真っ直ぐなのを曲げる。

2.改めなおす。正しくする。

3.偽る。曲げる。付会する。

4.狙いをつける。



「このようにしたい」と考えて努力するのだが、近視眼で没頭すると…


→ 牛を殺す


「『本末転倒』てこと?」

  「そうね」


・・・

こうした過ちは世に多い。


特に、政治の世界。

一つの例が交通警察だろう。


「事故のない社会を目指そう」

「民に喜んでもらえる」


しかし取締の一本槍で民を突いてしまった結果、今じゃ民から憎まれている。



「鬼事故を知ってますか?」


親切な人がそのように指摘しようとしても、聞く耳を持たない。



マルコ4章

9 そして言われた、「聞く耳のある者は聞くがよい」。



「結果」を出すために、「聞く耳」が必要。


しかし、『耳のない者』が権力者の心を牛耳っている。


→ 『魚』


聖書は『魚』という例えを使い、「悪霊」を表現する。


目に見えず、密かに行動して社会を混乱させている存在だ。


この魚は平気で依怙贔屓をする。


ついでだから『お話』を一つ。


ある人が後部座席に警視総監を載せて運んでいた。


すると突然、白バイが横に来て停車を要求…追尾していたらしい。


この時、警視総監は窓から手を出し「緊急」と声を発した。


その白バイは即座に離れて行ったという。



こうした話はいくらでもある。

そしてそれは民に広まり、「これが正義か」という思いが広まっている。


「特権だ」

「お前らは罪人、我々は除外」


こうした空気を敏感に感じ取れる人を「霊感の人」と呼ぶ。


いち早く「魚の動き」を読まなければ国家が腐り、集団暴走のような戦争に突入させられ大損害を被るのだ。


上層が加害者、下層は被害者。


普段からそうした眼を光らせていないと、政治家が牛を殺す愚を許す。


だから古来、権力の側近には相談役の預言者が控えていた。


→ 「鬼の風に流されてます」


彼の一言は真珠のような価値を持っている。


政治家は、正しい神官の指導を仰ぐべきだが、間違った神官も存在する。


その相手なら逆に暴走を招くだろう。


日本もそれを経験しているが、反省さえしていない。




 ■鬼を放置して歪む


民をまっすぐに矯正しようと努力しているのは交通警察だけではない。


ユダの都では「サンヘドリン」が顕著な例だった。


イエスが彼らに意見しても、「我々は民を真っ直ぐにしているのだ」という態度を続けた。


聞く耳を持たないその姿勢には、「耳のない鬼」からの誘導が重なっている。


鬼は常に、権力者に群がる蝿のように行動しているが、無色透明だから気付かない。


「彼からブイブイ音がするよ」

  「なにか周囲にいるね」


相当な聴力が必要だ。


結局、鬼の存在を無視した政治は「角を矯めて牛を殺す」方向にズレてしまうのである。



気の毒なのは底辺の民。


彼らは日々、鬼への生贄として潰されている。


歪んだ政治を正そうとする人が出て来ると、鬼は彼の眼を散らす。


意識を「主義主張」に飛ばすのだ。


「富の配分が間違えている」

「主義が悪いからだ」


こうして鬼は、「散らされた思想家」を量産し、さらなる犠牲を獲得しているのである。



では結論。


『配分の間違いはなぜ起きる?』


地位ある人に訊かれたら、こう言うしかない。


「鬼を担いだでしょう?」

「見なさい、あなたの肩を」


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