第900話 残すは証明のみ
「最大の難関があるね」
「それは?」
「『イハウヘ』の正統証明」
「あー知りたいな」
「そうでしょ?」
「世の中間違いだらけだから」
「うん」
・・・
もし正しいなら、その名を呼ぶ結果、世の中が変化する。
個人の祝福も大事だが、私に取ってそれは小さな問題。
闇の支配を続けて来た敵が、倒壊する場面が見たいだけ。
個人的な、ご利益を求めていても仕方がない。
鬼と戦う決意をして、岩の上に立場を定めた理由は、邪悪の倒壊なのだ。
偽物からの祝福など、欲しいとは思わない。
例え、「ソロモンの栄華を与える」と言われても。
■どのように証明があるか?
「世の中が変わる」という表現は漠然としている。
そして、祈れば即座に反応が来るような日常の出来事とは異質なものだろう。
しかし、正しい名が流布して困るのは、間違った名に執着して来た人々。
我々の周囲には、「神の振りをする鬼」が満ちており、その状況でのご利益反応は素早い。
また、ソロモンが頼みもしない祝福を受けたように、願ってもない富を得る場合もあるだろう。
しかし私の目的は、ただ「正しい神を崇拝したい」・・・とそれだけなのである。
もし見返りがゼロであっても、砂上の楼閣が倒壊するのなら、それで構わない。
過去に人類を騙し続け、多くの不幸を招いた元凶が消えるのなら。
今は、近くの鬼からの騒音を避け、遠くの親神に祈って「繋がった」という手応えが欲しいだけなのである。
それを待ちながら、耳を澄まし、日々を過ごしている私である。
残すは証明・・・
それは自ずと来るはずだ。
自ずと・・・
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