第895話 鬼の気配は消えてない

「鬼はまだいるよ」

  「感じた?」

「そう、心臓あたりに」

  「やばいな」

「落としたけどね」

  「しかしなぜ来たのかな?」

「神の道を熟考してたから」


・・・

神の名を適当に考える人が多い。

今はそれが罠だと知った。


というのは、ネットのログインで苦労したからだ。


うろ覚えの「ID」とパスワードで挑戦し、何度も蹴られて疲れ果てた。


メモしてあったのに、それが見当たらない。


そこで適当にやってみたが、やはり駄目だった。


このデジタルの時代には、一言一句でも疎かに出来ない。


「これは道と同じだな」


そうした考えを巡らせていた時、鬼が憑いたのだった。


  『考えるな』


そんな意味だろう。




 ■先人が残したヒント


創造主の名の手掛かりは、数千年前から残された記録であり、「神聖四文字」と呼ばれるヒントのみである。


これに、日本語からの補填が必要だった。


もし、創造主に祈らない人ならそこまでする必要はないだろう。


しかし、真剣に繋がりたい人ならログインの姿勢で取り組むしかない。


「道よ開いてくれ」


実際、世の神がバラ撒いた雑多な神々が周囲に満ちている。


適当にやれば、その道に迷い込むだろう。




 ■人を信頼したのに


カルトに属していた頃には、「彼らが言うから本物だろう」と考え、安易な横並びで過ごして来た。


しかし、結果は脱退。

今は良かったと思っている。


ところが抜け出してからが大変だった。

本当の道が見つからず、かなりの試行錯誤を繰り返した。


この時間の無駄を…個々が繰り返す必要はないと感じている。それは「辛酸」と呼べるからである。


そしてやっと辿り着いたのが「イハウヘ」の道だった。



例えばナビに、「イハウヘ」と打ち込めばその道を表示してくれるだろう。


しかし、違う文字を打ち込めばその名に該当する「別の道」に誘導される事になる。


それを鬼が教えてくれたのだ。


※ 都合が悪いと鬼はチョッカイを出す。


こう思った。


『鬼の気配は消えてない』


そして私に答えを与える結果を招いたのだ。


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