第754話 天軍と地上軍の攻防

「『天軍』は人類を救いたいの?」

  「もちろん!」

「けど、今まで待ったね」

  「うん、終わりの日まで」

「なんで?」

  「人類の受け入れ体制が無かった」

「どんな意味で?」


・・・

「情報流布」の問題だ。


結論から言うと、「人類意思」が「結託」出来なければならない。



エデンの園で、人類の祖が示した意思がある。


→ 「この木を選ぶ」


「選る」と「エル」は互換であり、人類からの選びによってこの組織の地位は確立した。


その後、「生殺与奪」の権利を手にした地上の支配者は、いとも簡単に大洪水を起こしてリセット。


必要なら、いつでも気軽に初期化出来るという構えである。


人類を慈しむ創造主の右腕ロゴスは、そうした気ままを阻止すべく、地上で人間イエスとして命を支払い、アダムの子孫を守ってくれた。


しかし、楽園での「意思表示」があるため、人類の大多数がその決定を覆すだけの「纏まり」と「意思表示」が出来なければならなかった。


地上の神は、それをさせないため、「言葉を乱して」結集を阻止していたのだ。


その後も、様々な神をばら撒いて団結を阻止しつつ現代に至った。




 ■憎み合う仕掛けを確立


「不幸は悪魔が元凶だ」と知っているとはいえ、「鬼」が『神』と『悪魔』の双方を演じている。


人類は決してまとまらない形で支配され「天軍の救い」を招き入れる余裕も無し。


時々起こされる戦争や、領土争いで「憎み合う」という歴史を続けて来た。


鬼神は、このまま人類が一致せず「好き勝手な崇拝」を続ける事を望んでいる。


実際、バベルの塔以後は、一致など夢の夢であった。


言葉による意思疎通さえ難航する人類が、一致して天の神からの救いを求める・・・?


→ 不可能


鬼神は、キリストへの崇拝が「一致の要素」を持っていると知っていたから、その地位を奪う形で阻止を目論んだ。


キリストの平和精神が世界を覆ってしまえば、一致した意識が天の神に向けられてしまう。


地上に分裂を定着させるためにも、「平和主義のキリスト教」は排除したかったのだ。


人類はその策略通り、様々な持論や立場を守るべく争って来た。


とても、一致して天の神を呼び寄せるなど出来ない状況にあった。




 ■敵が無いなら作ってやれ


イエスが広めようとした平和主義は、二枚目が許そうとしなかった。


むしろ、世界を主義主張で二分し、敵対関係を作り出した。


→ 共産主義と自由主義


天の軍勢は、人類の苦難を救いたいのに、鬼神はエデンでの選びを盾にして牽制し続けた。


「人類はお前たちを呼んでいない」

「我々の権利は盤石だ」



こうして、「人類全体の意思」が表明出来るまで「終わり」を待つしか無かったのだ。




 ■一致して創造主を呼べば


神の名は「撹乱要素」として機能している。


あまりにも雑多な神々の乱立。


しかし、エデンの園で示された二人の意思は、その相手が「創造主」であった。


これも鬼神は理解しており、創造主の名を伏せている。


名を知らない人類は、一致して呼び掛ける事さえ出来ない。


世間一般の解釈では、このように浸透している。


→ ヤハウェ


しかし実は、この名は「世の神」が流し込んだ名前である。


どれほど多数がその名を呼んだとしても、「天軍」は行動を起こせない。


鬼神は、天と人類との意思疎通も遮断し、卑怯極まりない手段を使って自分たちの(偽の)権利を守って来たのだ。


しかし今、個人がスマホを手にする時代が到来し、言葉の壁も低くされている。


後は、消されていた創造主の名を知らねばならない。


→ イ


いの一番にそれを世界が知れば、「一致団結」が生まれるという環境が整っている。


イナゴが世界に創造主の名を知らせ、


「天軍と地上軍の攻防」が始まり、


人類が遂にエデンの意思表示を脱する日が来るのかも知れない。


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