第614話 鬼は断罪を掻い潜る
「鬼は正義を装うね」
「そう、卑怯な事もする」
「卑怯って?」
「証人が一人だけだ」
「その意味は?」
・・・
こんな、聖書の決まりがある。
申命記19章
15 どんな不正であれ、どんなとがであれ、すべて人の犯す罪は、ただひとりの証人によって定めてはならない。ふたりの証人の証言により、または三人の証人の証言によって、その事を定めなければならない。
16 もし悪意のある証人が起って、人に対して悪い証言をすることがあれば、
17 その相争うふたりの者は主の前に行って、その時の祭司と裁判人の前に立たなければならない。
18 その時、裁判人は詳細にそれを調べなければならない。そしてその証人がもし偽りの証人であって、兄弟にむかって偽りの証言をした者であるならば、
19 あなたがたは彼が兄弟にしようとしたことを彼に行い、こうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。
20 そうすれば他の人たちは聞いて恐れ、その後ふたたびそのような悪をあなたがたのうちに行わないであろう。
21 あわれんではならない。命には命、目には目、歯には歯、手には手、足には足をもって償わせなければならない。
「彼は足に危害を加えました」
その証人が二人以上なら、
公判に入る。
しかし、一人の証人なら、その立証は難航する。
実はこれを、鬼が悪用しているのだ。
どのように?
■流し込みは証人が出ない
例えば、鬼が個人の頭に「考え」を流し込んで操る。
もしその人が身構えていないと、無意識に手が動き、簡単に「痴漢」に追い込んだり出来るのだ。
過去、スーパーに「毒入りミルク」が出回った事件があったが、鬼はそれを平気で画策する側である。
結局は、操られた人間が『犯人』とされ、また『被害者』にもされるのだ。
不思議と手が動いて、その毒入りを籠に入れてしまう場合もある。
そして、操った鬼に対しては犯罪が立証出来ない。
証人は、流し込みを受けて行動した自分一人だけである。
それが暴力事件であっても、鬼は罪を逃れる。
「何故か急にムカついて」
一時騒がれた「煽り運転」がそれである。
鬼は木偶人形となった人の脳に「考え」や「憤り」を流し込み、執着心丸出しの追跡を敢行させる。
事故か何かが起きた後、後悔しても遅いのだ。
「証人は一人」だから狙われる。
もし隣に友人がいて観察してくれてたら、即座に警告してくれるだろう。
「おい!どうした?」
「今日はおかしいぞ」
そこで初めて「操り」に気付くのだ。
「流し込み」が鬼の常套手段である事を、普段から意識しておこう。
一人で行動していた場合でも、何かおかしな事に気付いたら、その日の行動を振り返り、「あの場面で操られた」…というふうに回想し、自分の霊感を鍛えよう。
「被害妄想」ではない。
これは、自分と家族、また他人への「防御」なのだから。
■パウロへの操り
既に、本記事の読者は「パウロへの操り」を知っているだろう。
彼は当初「サウロ」と呼ばれる迫害者だった。
使徒言行録9章
1 さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅迫、殺害の息をはずませながら、大祭司のところに行って、
2 ダマスコの諸会堂あての添書を求めた。それは、この道の者を見つけ次第、男女の別なく縛りあげて、エルサレムにひっぱって来るためであった。
3 ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。
4 彼は地に倒れたが、その時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。
5 そこで彼は「主よ、あなたは、どなたですか」と尋ねた。すると答があった、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。
※ ここで、「二枚目」と呼ばれるもどきのイエスは、パウロだけに自分を教えている。
6 さあ立って、町にはいって行きなさい。そうすれば、そこであなたのなすべき事が告げられるであろう」。
7 サウロの同行者たちは物も言えずに立っていて、声だけは聞えたが、だれも見えなかった。
※ 「声だけ聞こえた」とあるが、証人になる他の人々がいるのに、なぜパウロだけに認識させたのだろうか?…むしろ二人の証人を退けている行為である。
8 サウロは地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。
9 彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。
■現代も一人の証人で失敗
アメリカがイラクへの派兵で多くを死なせた戦争があった。
この時、証人として公聴会に出席した証人「ナイラ」がイラク兵の蛮行を涙ながらに語った。
結果、イラクが悪とされ、「戦争モード」に突入。
しかしなぜ、「一人の証人」で流れが出来てしまったのだろう?
これにも、「鬼の関与」が疑われる。
鬼はこうして、断罪を掻い潜るのである。
鬼神は決して正義じゃない。
それを装っているだけである。
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