第558話 「気付くはずがない」のに

「ご利益があれば、拝むよね?」

  「普通はね」

「偽の神に気付いたのは、どうして?」

  「実はよく解らない」

「へー、不思議だ」


・・・

今は意地でも鬼と戦っているが、過去には周囲の神にすがる日もあった。


結局、「経験」からだと思う。


イエスの思いが汲めるまで長期間を要したが、今ならこう考える。


→ 「シロは、どんな気持ちか」




 ■世の神の独壇場の中で


イエスは実に、気の毒な立場にあるのだ。


妙な表現だが、世の初めから「優先者」は「阿の狗」と呼ばれ、大きな声を張り上げていた。


イエスは、その後塵を被る「吽の獅子」。


手を打つのも「後手・後手」で、先手有利である盤上の戦いを続けて来た。


それも、「人類を救おう」という慈しみを持って必死で取り組んだ。


文字取り、命を捨てる事になった。


これを理解してしまったから、地上に神々が溢れていても目を向けなくなったのだ。


「拝みなさい」

「これだけ御利益があるよ」

  「結構です」


彼らが大多数の信仰を集めており、人気スポットと呼ばれていても・・・


そして、多くの人がそこで救われていても・・・


私はなぜ、寡黙な「吽の獅子」の孤独を見てしまったのだろうか。


そして、こう思うのだ。


「大勢に背を向けてでも、私はあなたに着いて行きます」


有利な阿の狗は、「二枚目」を使って大宣伝を繰り広げ、「一枚目」の持つ雰囲気を塗り替えてしまった。


「華美」で「壮麗」なものに。



これらは勿論、私見であるから正しいとは限らない。


しかし、本物の崇拝はメシアの犠牲を通して受け取るのだから、もっと地味なものであるはずだ。


「後の神」は告げている。


→ 『飾り物を外せ』




 ■孤独を察す?


崇拝は、損得勘定でするものじゃない。


それを人々は知っている。


それでも世の中は、「酒を飲んだ」かのように神経が鈍った雰囲気。


後ろの方に、追いやられた神の気持ちはどんなだろう。



このように、人と比べて「ど偏固」な私がここにいる。


「気付くはずがない」のに


鬼は、そう思っているだろうか?


偽の神など、どうでもいい。

・・・

これが、今の私である。


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