第523話 「一度切り」を捨てた御子

「『ハルマゲドン』が近いね」

  「うん」

「どんな戦いだろ?」

  「かなり激しいよ」

「なんで?」

  「鬼との論争だから」

「はー」


・・・

そのための、理論武装は必須である。


鬼は多分、『贖いの価値』を突いて来ると思った。


ユダヤ教が、主張して来た内容だ。


「あのイエスは偽物だ」


しかし彼らは、最後に水没する。




マタイ 18:6

しかし、わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みに沈められる方が、その人の益になる。




以前考えたように、石臼は穀物を粉にする。


→ 遺伝情報を消す


カザールは、自分の素性を消してしまった。


今は「ユダヤ」と呼ばれている。


痕跡も残さず「素性を消した」という作業は、かなりの労働に匹敵するのだろう。


ハルマゲドンの論戦相手は、「カエルのような言動」を口から出す。


「カエル」は、モーセの民がエジプトからの脱出を妨げられた時、川から出てお茶の間にまで上がり込み、うるさく鳴いていた。


「ゲロゲロゲロ」


その声は多分、「選民に味方」する内容だったのだろう。


メディアを通して、識者たちがイスラエルの正当性を喧伝している様子が浮かんで来る。


古代イスラエルは、最終的に脱出したが、


現代のイスラエルは系図が繋がっておらず、それでもキリスト教世界から支持を受けている。


しかも彼らは、例の主張を秘めている。


「あのメシアは偽物だ」



「古代ユダヤ」対「現代ユダヤ」という奇妙な構図だが、決定的な違いがある。


モーセの頃、メシアは来ていない状況。


その後、イエスがユダの都に登場し、かなりの集団がイエスを受け入れた。


彼らが日本に来て基礎を築いたのだ。


現代ユダヤは→ メシア無視☓

古代ユダヤは→ メシア容認○


日本の神輿は「メシア」を表現したものだから、祭りで歓迎されるのだ。


世界はどちらのユダヤに軍配を挙げるだろう。




 ■天での論争


イエスがなぜ、メシア(キリスト)として死んだのかをもう一度確認しよう。


サタンは言った。


「人類はオレたちのものだ」

「アダムやイブと契約した」


契約の初期に関わった人は実質で「アダム」である。

(イブはアダムの肋骨なので)


「自分たちのもの」だから、サタンは大洪水による殲滅も平気で行う。



天の御子(ロゴス)は人類を何とか救いたいと考えた。


それには「アダムと同等の命」が必要になる。


置き換えのため、ロゴスはイエスとして地上に生まれ、その命を支払う決意をした。


肉体を得る権利は、勿論「一度切り」である。


それほど貴重な生涯だからこそサタンも納得したのだ。


※ 実際にイエスから別の人類が出るという可能性があったので、サタンはイエスに、「全世界を差し上げる」と告げている。




マタイ4章

8次に悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華とを見せて

9言った、「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう」。

10するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。

11そこで、悪魔はイエスを離れ去り、そして、御使たちがみもとにきて仕えた。




ここでもし、イエスが承諾していたら、アダムから出た人類は消滅し、イエスから出た人類がサタンの世に生きていただろう。



人間として生きる「一度切り」の肉体を捨て、その経験は「二度と出来ない」という決意。


それは、どれほど大きかったのだろうか。


もしイエスが、別の肉体を気軽に身に纏い、再度到来し、人類の王になってくれるのなら、我々は「優しい神」と再び触れ合える。


しかしそれは、「二度と」無い。


他ならぬサタンが納得しないだろう。


彼は千年後まで縛られるが、存在は絶えていないのだ。


サタンの樹木を思い出そう。


「契約を最重要視する木」


鬼の軍がその配下である。


もしイエスが、別の肉体を気軽に纏っている姿を目撃したら、「メシアは成立しない」と叫ぶだろう。


メシアの効力は消滅する。


つまり、現行の人類は開放されない。


法規でガチガチの組織を、アダムが受け入れてしまった結果はこれ程大きいのだ。



私に何か、声が聞こえた。


『知ったのか?』


知りました。


「一度切り」を捨てられた御子よ・・・


この恩恵、

感謝に絶えません。


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