第510話 「丸」と「四角」の戦い
「四角四面の語源知ってる?」
「聖書だと思う」
「なんで?」
「説明は時間が掛かる」
「でも、知りたい」
・・・
【四角四面】
1.至極真面目な事。
2.極めて堅苦しい事。
楽園には、「善悪の知識の木」があった。
それは、イブの目に良く見えた。
→ 整然としている
実は、「融通」がゼロの組織であり、「四角四面」の方針で動いていたのだ。
聖書での「樹木」は例えに使われており、「組織」を指している。
イブの見た組織は、きっちりと機械的に動き、間違いを嫌う姿であった。
それが→ 良く見えた
確かに、我々の目も同じ。
ラインダンスは、揃って動くから素晴らしい。
軍や警察のように道を外さず、規則に沿って整列する姿も「かっこいい」と思うだろう。
■その木は選民を選んだ
「善悪の知識の組織」は、エリートとして配下に置く民を選んだ。
「選民」は、モーセを長としてその神に仕えるのだ。
まず、「祭壇を作れ」と命じられた。
出エジプト記27章 (神の祭壇)
1 祭壇をアカシヤ材で作る。その祭壇は長さ五キュビト、幅五キュビトの四角形でなければならない。高さは三キュビトとする。
2 その四隅の上に角を作る。その角は祭壇の一部でなければならない。青銅をその祭壇にかぶせる。
・・・
このように、選民の神は「四角四面」がシンボル。
これを、天で眺めていた右手の神(イエスの前身)は思っただろう。
「この民は苦労するぞ」
実際、ホレブの山に至るまでの選民は、四角四面の法規で支配され、
はみ出せば
→ 厳罰
イブは、こうした裏の部分を見せられていなかったのだ。
その後、御子が地上に出現するまで、人類は「神とはこうしたものだ」と思い込んでいた。
冷徹な神しか知らないのだから、それも当然だろう。
この神と選民が、やがて世界を支配する予定になっていた。
■御子の暖かさに驚愕
神に暖かさがある・・・など、まるで知らなかった選民の都に、神の子イエスがやって来た。
福音書から感じるイエスは、
「丸さ」
「暖かさ」
「柔軟さ」
・・・
そうした存在。
気質がまるで違うから、従来の神の路線(四角四面)を守ろうとする支配層と何度も衝突した。
しかし実は、イエスこそが「楽園の神」の気質なのであり、「善悪の知識の組織」はその配下に過ぎない。
こうした話を、直弟子は聞かされ、世の真相に只々驚くばかりであっただろう。
イエスが去ると、早速「二枚目」が世界を奪還し、成り済ましのキリスト教を演じるようになる。
ところが、
「丸さ・温度・柔軟さ」で判断すれば、そこはやはりボロが出てしまうのだ。
「綺麗に着飾る」という価値観が主流だからである。
それは、二枚目の気質であり、例外は許されない。
しかし貧乏人は、集会に来ていく服も無いのだ。
仲間に入るには、高級感溢れる「社交上のような雰囲気」に合わせなければならない。
しかし、救いを必要としているのは、穴の空いた服しか持たない「極貧の人」ではないだろうか。
そんな服を来て行くなら、即座に仲間外れにされるだろう。
※ 「仲間外れにはしませんよ」と言うかも知れないが、これは「居心地の問題」として例に取り上げたまでである。
極貧の人たちは、きちんとしないのではなく、精神的にも経済的にも、その余裕が持てないのだ。
イエスなら
「遠慮なく来なさい」
「私も四角い部屋を丸く掃く」
そのように迎え入れてくれるだろう。
「丸」と「四角」の戦いは、今も続いている。
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